ARで医療を学ぼう! スマートグラスを使った教育
ARで医療を学ぶ
臨床工学技士は病院にあるさまざまな機器を操作しますが、その種類がとても多く、しかも手順が複雑です。そのため効率のよい、学習内容を定着させやすい教育が求められています。
医療機器の操作や組み立てなどは、基本的には両手を使う作業です。従来の教育では、教科書やマニュアルを横に置いて練習し、わからない部分があれば一度手を止めてマニュアルを調べる、という方法で行われています。もしハンズフリーでマニュアルを確認できる手段があれば、作業中に手を止めず、目線を外すこともなく、機器を操作できるでしょう。
スマートグラス学習の効果
よりよい医療教育を行おうと、臨床工学技士を養成する現場にAR機能のあるスマートグラスを導入した効果の検証が始まりました。従来の紙マニュアルを使うグループと、ARでマニュアルを見るグループに分け、同じ機器の操作を覚えてもらいます。例えば透析治療の準備に必要な「プライミング」という複雑な操作です。1週間おきに計5回の練習を実施し、最後の学習から1カ月後にテストが行われました。紙マニュアルグループは多くが途中でギブアップしたものの、スマートグラスグループには最後まで操作をやり遂げる人が多く見られました。ARを用いた医療機器操作の練習には、手応えが得られています。
自己評価システムの重要性
スマートグラスを使った教育をさらに普及させるには、自己評価システムの開発も重要です。よいトレーニング機材があっても、最終的には誰かに評価してもらわなければ、正しい操作ができているかわかりません。先生や先輩がいないときでも自習ができるように、画像認識と組み合わせて機器操作を評価するシステムの開発が進行中です。例えば、部品をきちんと接続できているか、スマートグラス経由で画像認識を行い、コンピュータで評価します。スマートグラスを使って自習ができるようになれば、学生だけでなく新人医療従事者の熟練度も上がり、医療事故防止につながるはずです。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 福岡医療技術学部 医療技術学科 臨床工学コース 助教 伊藤 奈々 先生
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