国産木材を育てて使う サイクルの確立のために
持続可能な建築インテリア
今、日本では、国産木材の活用を促進させることが急務となっています。それが、日本の林業を支えると同時に、環境への負荷が少ない持続可能な社会へとつながるからです。石油などの化石資源は使用するとCO₂を発生させ、いずれは枯渇します。木材は植林によって、30年ほどで新しい森林資源を生み出すことができます。今は、こうした視点による建築分野の取り組みが重要です。国産木材を活用するインテリア商品開発からも、持続可能なサイクルを実現できます。
デザインから構造計算、生産までを実践
商品開発は、メーカーや行政など多くの関係者と協働で行うと効果的です。まず、使う場所や人などのターゲットを想定し、打合せを重ねながら家具やインテリアの構想を考えます。デザインが決まったら3Dモデル化し、重量や形状、構造計算ソフトによる安全性の確認、転倒の危険性などを確認して図面を修正していきます。人間工学の視点からも検証して仕様を確定させ、最終的にメーカーで試作して不具合のチェックを行います。こうして、デザインから商品化までを行い、木材による家具やインテリアの可能性を探ります。
国産木材を活用して日本の森を守る
近年、CLTという新たな材料が開発されました。これは、ひき板(ラミナ)を、繊維方向が直交するよう交互に接着した材料で、大きな荷重を負担できるなどの特性があり、高層ビルまで建築できる材料として今後ますます普及すると予想されています。現在、国産木材によるCLTを使った家具や内装の開発が行われています。しかし、軽くて軟らかい国産木材を家具に使用するには、使い方の工夫や金物の開発などが必要です。これらを研究開発することで、国産木材のさらなる活用が進められています。
日本の森林は、林業の衰退によって荒廃しつつあります。国産の木材の使用を促進することで、木を切り、建築物やインテリアに使い、植樹して木を育てるという循環(サイクル)を確立させる必要があるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
広島工業大学 環境学部 建築デザイン学科 教授 森田 秀樹 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
建築デザイン学、環境学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?