ロボットのサッカーチームが人間のサッカーチームに勝つ日は来るのか

ロボットのサッカーチームが人間のサッカーチームに勝つ日は来るのか

最強のシュートはループシュート

ロボットチームが対戦するサッカー大会が「ロボカップサッカー」です。その目的は、人工知能の研究を進めて知能ロボットを発展させることです。具体的には、2050年に人間のサッカーのワールドカップ優勝チームと試合をして勝つことが目標とされています。
最近のロボカップサッカーの試合でよく使われるのがループシュートです。これはボールの高さが4~5メートルぐらいまで上がるため、ゴールキーパーのロボットが反応できず、得点に結びつきやすいのです。しかし、このシュートを正確に打つためには、自分の位置とゴールとの位置関係を正確に測り、ボールの弾道を精密に計算して蹴らなければなりません。

ロボットが自分で状況を判断して動く

ロボットはどうやって自分の位置を理解しているのでしょうか。ロボットはコート上に引かれたラインをセンサーでとらえ、自分の位置を判断しています。位置によりラインの見え方は必ず変わるので、その変化をロボットに事前にデータとして入力しておくのです。そして瞬間ごとに変化するラインの様子をセンサーでとらえ、ロボットに備わっているデータベースと照合することで位置を正確に判断します。さらに最新型のロボットなら、自分と味方の位置や相手のポジションなどを瞬時に計算して、自分が有利か不利かを見極めることもできます。この計算には評価関数という人工知能の技術が活用されています。

勝負はハードウェアからソフトウェアの時代に

最近のロボカップサッカーの試合では、勝負を決めるカギはソフトウェアの優劣に絞られてきました。ハードウェアの進化は、ほぼ行き着くところまで進んでおり、どのロボットもそれほど性能は変わらなくなったので、ソフトウェアの勝負になっているのです。ロボカップサッカーがスタートした当初は、日本が強かったのですが、最近はヨーロッパや中国、タイなどのアジア勢に押されがちです。ロボットの基本ソフト開発では日米がしのぎを削っており、今後の日本の研究に期待がかかっています。

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先生情報 / 大学情報

金沢工業大学 情報理工学部 ロボティクス学科 ※2025年設置構想中 教授 出村 公成 先生

金沢工業大学 情報理工学部 ロボティクス学科 ※2025年設置構想中 教授 出村 公成 先生

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知能情報学、知識機械学、ロボティクス学

メッセージ

子どもの頃から鉄腕アトムのように、人間の役に立つロボットを作ることが夢でした。今、その夢の実現に向けて研究を進めています。あなたもぜひ大きな夢を持ち、それに向けてチャレンジしてください。
ロボット研究で必要なのは数学、物理などの基礎知識です。実際にロボットを作り動かす体験も欠かせません。知識と実践をつなぐことで、しっかりしたロボットを作ることができるのです。将来ロボットの研究をしたい人は、簡単なものでもよいので、今すぐロボット作りを始めましょう。

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金沢工業大学では、講義等で「知識を取り込み」、それを仲間との実験・演習の中で「思考・推論」し、組み替え結びつけることで「新たな知識を創造」し、その成果を「発表・表現・伝達」する独自の学習プロセスを全科目で導入しています。さらに高度な研究環境の中で産学協同による教育研究を実践するとともに、夢考房など知識の応用力を高める多彩なフィールドを実現することで、獲得した知識を知恵(応用力)に転換できる「自ら考え行動する技術者」を育成しています。