未来の工場に求められているAIとロボットの役割とは?
多品種変量生産に欠かせない存在
製造業の未来を考える上で欠かせないキーワード「インダストリー4.0」。従来型の大量生産ではなく、望むものを、望む時に、望む量だけ生産する「多品種変量生産」に対応した新しい工場のあり方を示す概念です。その新しい工場を実現するために必要不可欠と考えられているのが、AI(人工知能)とロボットの組み合わせです。
AIとロボットで臨機応変に
従来型の大量生産の工場でもロボットは導入されていますが、それらの操作は、人間のエンジニアやプログラマーが行わなければなりません。また、バックヤードジョブと呼ばれる、倉庫から必要な部品や素材を製造ラインの各所に運ぶ工程も、すべての動作のプログラミングが必要なロボットには難しい作業です。仮に製造ラインをロボットによってすべて自動化したとしても、このバックヤードジョブを担える人間が出勤していない深夜の時間帯には、製造ラインを稼働できないという現実があります。
そこで、人間のエンジニアやプログラマーがロボットに対して果たしていた役割を、AIに置き換えていく研究が進められています。AIに期待されるのは、状況に応じた臨機応変な対応です。近年のコンピュータの処理速度の目覚ましい進化と、ロボット自体の小型軽量化と低コスト化、そして、ハンドやセンサー、通信機能などの改良により、複雑な作業にも柔軟に対応できるロボットの実用化が期待されています。
これからの社会を支えてゆく役割
こうしたAIとロボットの組み合わせは、特定の製品の生産ラインでだけ機能するのではなく、さまざまな分野の産業に横展開していける可能性を秘めています。農場での野菜や果物の収穫や、ゴミ処理場でのリサイクルのためのゴミの分別作業など、人手不足に陥りがちな作業を、AIとロボットに肩代わりしてもらえるようになるかもしれません。製造業だけでなく、社会の中のあらゆる場面で、AIとロボットが重要な役割を担うようになる時代が近づいています。
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北九州市立大学 国際環境工学部 情報システム工学科 教授 西田 健 先生
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