ロボットを賢くするための方法とは

ロボットを賢くするための方法とは

初めて聞く言葉をどう理解するか

人と話ができるロボットの開発が進んでいます。これまでの研究で、簡単な会話なら、かなりスムーズにこなせるようになってきました。ところがロボットには、弱点があります。あらかじめプログラムされた言葉の意味は何万語でも理解できますが、プログラムにない言葉はお手上げなのです。
例えば、会話の中で知らないレストランの名前がでてきたとしましょう。人は、その店の名前が漢字で書かれているのか、またはカタカナ、英字表記なのかで、和食や中華、イタリアンなど属性の見当をつけることができます。このように、ロボットが初めて聞く言葉でも、少しは推測する力がなくては、人と自然に話すことはできません。

学習と検索の組み合わせで推定

知らない言葉をロボットが理解する方法として、「学習」と「検索」があります。例えば、「なごみ亭」という店がシステムに登録されていなければ、人工知能が今まで蓄積されたデータに基づいて学習し、「平仮名の名前は和食の店に多いから、なごみ亭もそうだろう」と推定します。同時に、インターネットで「なごみ亭」を検索し、「和食」という言葉を含むサイトがたくさんあれば、「なごみ亭は和食の店っぽい」と推定できます。これらの結果を組み合わせることで、知らない言葉の属性を推定できます。

「知らないこと」を認識する難しさ

このように、人工知能がたくさんのデータからその傾向を学習する方法を、「機械学習」と言います。最近では、より高度な機械学習を行い、未知の情報を高い精度で予測する「ディープラーニング」という方法が注目を集めています。
知らない言葉が出てくる度に意味を尋ねるロボットでは、人間はうんざりしてしまうでしょう。けれども、ロボットは、自分が何を知らないのかをあらかじめ認識することはできません。これは古くから人工知能につきまとう問題として知られており、それを乗り越える技術がロボットを賢くするためのカギを握っているのです。

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先生情報 / 大学情報

大阪大学 産業科学研究所  第1研究部門(情報・量子科学系)知識科学研究分野 教授 駒谷 和範 先生

大阪大学 産業科学研究所 第1研究部門(情報・量子科学系)知識科学研究分野 教授 駒谷 和範 先生

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情報科学、知能情報学、音声言語処理

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メッセージ

ロボットが人と自然に話をする、そんな未来が見えてきました。人と話せる賢いロボットをつくるには、人の声を認識し、話の内容を理解したうえで、次に何を話すのかを考える技術が必要です。そのために求められるのは、「声」すなわち「音の波」を理解する物理の知識、大量のデータを処理する数学の知識、さらに、言語学や心理学の知識などです。人と会話するロボットづくりに興味のある人は、これらの知識をしっかり身につけてください。そして、ぜひ私と一緒に研究しましょう。

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自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。