偽情報に注意! AIだってだまされる
ネットワーク機器への攻撃
ネットワークで世の中のいろいろなものがつながり、AI(人工知能)が広く使われるようになった今、悪意のある攻撃者からシステムを守る必要性がますます高くなっています。例えば、「スマートシティ」は、まちの中のいろいろなところにセンサを設置し、そのセンサから得られる情報をAIが分析して、人々の生活が便利になるように役立てるというものです。しかしセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)な一部のセンサが攻撃者に乗っ取られ、誤った情報に書き換えられると、それをもとに全体を管理するAIが誤った判断をしてしまうおそれがあります。そこで、さまざまな攻撃を想定し、どのような対策を講じていくかを考える必要があります。
AIは偽情報にだまされる
まずどのような攻撃が可能であるかを、実際に公開されているデータを用いたシミュレーションで検証します。例えばAIが人の行動を判別するためのデータを使った実験で、手首、足首、胸の3箇所につけられたセンサから得られる情報のうち、1つを乗っ取って偽の情報に書き換えます。その結果、それだけでも攻撃者の意図通りにAIが誤った認識をしてしまうことがわかりました。
「攻撃されにくいAI」を開発する
このような一部乗っ取りへの対策として、「センサ同士の整合性」に着目して異常をチェックする学習法が検討されています。例えば、足首のセンサから走っている動きの情報が得られたのに、手首と胸は動いていないのであれば「おかしい」と判断し、足首からの情報は使わないようにするのです。このように一部のセンサからの情報を遮断すると、全体のセンサを使う場合に比べて機能は落ちますが、誤った判断を避けることができます。
さらには、偽情報でAIがだまされるだけではなく、偽情報で学習してしまい、AIが正しく機能しなくなる可能性もあります。このように「AIそのものを壊してしまう」ような、より深刻な攻撃についての検証も今後進める必要があります。
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大阪大学 大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 准教授 大下 裕一 先生
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