ゲームを通して人間に寄り添うAIの開発
強いAIを作ることはできる時代に!
「ゲーム情報学」とは、ゲームを作るのではなく、ゲームを対象とした情報処理の研究分野です。例えばゲームにおける人工知能(AI)の開発や、その技術を活用した社会的なシステムへの応用などです。
情報処理技術の飛躍的な進歩に伴い、囲碁や将棋では「プロにも勝てるような強いAI」の開発ができるようになりました。AIは膨大なデータを蓄積・分析することが得意なので、AI同士で繰り返し対戦をさせることで、どんどん学習して強くなっていきます。またAIは焦ったり疲れたりといった感情はありませんし、見落としたり勘違いしたりといったミスもありません。
ただ強いだけでなく人間に寄り添うAI
ゲームで遊ぶ時、強いAIに一方的に負かされるのは楽しくありません。だからといって明らかに手加減をしている相手や、格下の相手でも楽しくありません。エンタテインメントとして満足度の高いゲームとは、人間とAIが勝ったり負けたりして競り合う「拮抗(きっこう)状態」になるのが理想的です。そのためには強いAIをあえて弱くした強さの異なるAIをいくつか作り、実際にプレイヤと対戦する中で、どの強さのAIと拮抗状態になるのかといったデータを収集します。それを元にプレイヤの強さに合わせたAIを選択することで、プレイヤにとっての難易度を臨機応変に調整し、拮抗したゲーム展開を演出することができるようになります。難易度を調整するAIのほかにも、人間らしく振る舞うAIや、個性や多様性のあるAIも人間に寄り添うAIには欠かせない要素です。
学習ツールなどにも応用
「いかにプレイヤに楽しんでもらうか」を追究するAI技術は、ほかの分野にも応用することができます。例えばAIを使った学習ツールでは、一人ひとりの学習進度や理解度をAIが判断し、飽きずに楽しく学習が進められるプログラムを提案してくれるようになるでしょう。AIの存在が当たり前になった現在だからこそ、求められるのは多くの人間に柔軟に対応できる「人間に寄り添うAI」なのです。
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先生情報 / 大学情報
福知山公立大学 情報学部 情報学科 講師 藤井 叙人 先生
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