パイロットに求められる技能とは? 空の安全を支える学び
飛行機のパイロットに求められる技能とは
自動車の場合、目的地の方向がわからなくなったり、ちょっとしたトラブルが発生したりしても、一時停車して対応策を考えることができます。しかし飛行機の場合、空中でしばらく停止するようなことはできません。常に先を読みながら、複数の事柄を同時に判断する能力が必要です。パイロットになるには、実技訓練を始める前からいろいろなことを頭だけでなく体も使って覚える必要があるのです。
空の迷子にならないために
空には道も案内標識もありません。自機がどのあたりを飛んでいて、どの方向に向かっているのかがわからなければ、目的地に到着することができません。飛行高度が低い自家用機などであれば、地上の高層建築物を目印にすることもできます。しかし、高度1万mあたりを飛ぶ商用ジェット機の場合、地上の無線施設から発信される電波やGPS信号をキャッチし、自機の位置を測定しながら正しい飛行ルートを維持する知識と技術が必要です。これは「航法」と呼ばれる技能で、必ず身に付けなければならない重要項目の1つです。
空の安全を支える「事前の学び」
飛んでいる飛行機には、機体を持ち上げる「揚力」と地面に引きつける「重力」、前進する「推力」とそれに反発する「抗力」という4つの力がかかっています。この4つが釣り合うことで、飛行機は高度を維持したまま安定的に飛ぶことができるのです。そのため、パイロットには航空力学の基礎知識と航空関連の法律や気象図の読み方なども学んでおく必要があります。
実機やフライトシミュレータを使った訓練を経て、ようやくパイロットの資格を取得できるわけですが、その後も搭乗機種ごとの訓練が必要です。そして本職になってからは、機体の安全性や重心位置の確認、航空法99条で規定されている航空情報の確認などがパイロットの責務となります。これらの飛行前準備の基礎については、パイロットになる前に覚えておく必要があります。パイロットの行動そのものが、空の安全を支えていると言っても過言では無いのです。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空操縦学専攻 助教 野間 大作 先生
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