対話は平和への第一歩 自問自答で本質を見極める力を持とう
他者・他国を通じて発見する「自分」
人文科学(The Humanities)は「人」「人間性」について学ぶ学問であり、自分自身を知る学問でもあります。人間性を学ぶ方法はたくさんありますが、ひとつには、他人との対話を通じて新しい情報・異なる意見に触れ、自分自身の関心に気づき、それを深く掘り下げていくというものがあります。例えば「同性婚」という話題について調査や意見交換をしてみると、当事者の考え方や生き方、社会がとりまく状況などを知ることとなり、自分の意見が見えてきます。また、各国の施策を調べてみれば、日本としての向き合い方などにも関心がわくかもしれません。
「ほかを知ること」は「平和な世界」につながる
また、「相手の立場に立って考えること(エンパシー)」は、ビジネスや政治、クリエイティブな分野、家族・友人関係など、あらゆる分野で大切な能力です。他者に興味・関心を持つことで相手の事情や感情に触れ、よりよく理解することができます。自分の意見・見解だけで判断しないようになるため、自分自身の世界が広がることにもつながります。
学校、地域、日本、そして世界中の人が相手の状況や文化に理解を示し、尊重できれば、世界平和の実現に一歩近づけるでしょう。
自問自答を繰り返すことで得られる「自律」
もうひとつ重要な考え方に「クリティカル・シンキング(Critical Thinking)」があります。「クリティカル」を辞書で引くと「批判」と出てくるため、どこかネガティブな印象を持つかもしれませんが、本来の意味は「自問自答する」「常識を疑う」ということです。相手の立場に立って考えることで、知らないことを知る「エンパシー」とは違い、「自分の知っていることが本当にそうであるのかを疑う」のがクリティカル・シンキングです。これを実行することは、自分自身の常識や感情、主観にとらわれず、さまざまなデータや異なる見解に触れて検証し、物事の本質を見極めることにつながるのです。
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東海大学 人文学部 人文学科 講師 サリバン スーザン ローラ 先生
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