意味のない「データ」から意味のある「情報」を読み取る「統計学」
データから情報を取り出す道具
「データ」という言葉は、子どもから大人までが知っている言葉です。しかし「データとは何か?」と聞かれると、ほとんどの人はその意味を明確には答えられません。「データ」そのものを定義するなら、「見るもの聞くもの触るもの、その人が知覚するものすべてがデータである」と言うことができますが、それ自体に意味を持つわけではありません。データを活用するには、そこから意味のある「情報」に変換する必要があります。この時に使う道具が「統計学」です。統計学は「データから情報を取り出す道具」というわけです。
あなたも気づかずに統計学を使っている
ライバルの校内マラソン大会の成績が前々回30着、前回17着、今回8着であったとします。するとあなたは「あいつ調子上げてきてるなあ」と考えたりしませんか。でも、なぜ「調子が上がった」と感じるのですか。データは30、17、8と単なる数字の羅列なだけではないですか。
友だちが「マンガ5000冊持っている」と言っていたら、おそらく「すごい!」と思うでしょう。でも、「マンガ5冊持っている」という言い回しとほとんど変わらないはずなのに、なぜ「すごい」と思うのでしょうか。データは「5000」と「5」という数字だけです。どうして5000冊は「すごい」のでしょうか。
このような感覚の背後に実は「統計学」が使われていたりします。
大切なのは統計学的な思考の仕方
このように無意識の中にでも使われる「統計学」ですが、意識して使うことができれば非常に強力な武器となります。「統計学」は数学の上に成り立つ学問ではありますが、数学だけできても「統計学」は扱えません。重要なのは、統計学的なものの考え方です。あやふやなデータの中からより質の高い情報を見出せるよう突き詰めて考えていくことが大切です。そのプロセスそのものが「統計学」であると言えるのです。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 経営学部 経営学科 教授 田畑 智章 先生
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