身近になった宇宙航空技術 小型人工衛星の挑戦!
人工衛星は小型化の時代へ
宇宙開発には、高度な技術と膨大な費用を要します。そして、技術と費用を投じてロケットを造ったとしても、想定外の出来事が起こり、中断や失敗をすることも珍しくありません。そこでスペースシャトルのような繰り返し利用できる往還型の輸送機や、かかる費用の少ない小型人工衛星の開発が進んでいます。
人工衛星は、地球の活動状況を撮影したり、地球以外の天体観測をしたりするのに役立っています。必ずしも大型の人工衛星である必要はなく、小型人工衛星を数多く打ち上げて編隊を組ませることで、大型人工衛星と同じような性能を持たせることも可能です。
人工衛星を打ち上げるまで
人工衛星を打ち上げるまでには、いくつかのステップがあります。まず人工衛星に何をさせるかというミッションを考えて、重さや大きさなどの制約を考えながら設計をします。その上で、実際に打ち上げる人工衛星と同じモデル機を製作して事前に試験をします。宇宙空間は温度差が激しいので、それに耐えられるかの温度試験をはじめ、宇宙の放射線試験、振動試験、音響試験などを行い、検証していきます。それらすべてをクリアしても、今度は打ち上げてくれる企業や場所を探す必要があります。日本は海外ほど人工衛星の打ち上げ実績はなく、一方で小型衛星用ロケット開発が盛んなので、海外のロケットに載せてもらう方法もあります。
模擬人工衛星プロジェクト
小型人工衛星を実際に打ち上げるプロジェクトは複数の大学で行われていますが、より気軽に参加できるのが「CanSat(カンサット)」と呼ばれるイベントです。Can(缶)の名の通り、350mlの空き缶サイズに必要な部品と機能を搭載して上空で放出した後に、さまざまなミッションをこなしていくコンテストです。これに参加することで人工衛星開発の基礎を体得できるだけでなく、ミッションに向けて課題をこなしていくマネジメント力が磨かれる、とても良い機会になっています。
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先生情報 / 大学情報
崇城大学 工学部 宇宙航空システム工学科 宇宙航空システム専攻 教授 下田 孝幸 先生
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人工衛星、宇宙探査、宇宙往還システム先生が目指すSDGs
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