伝統的な木造建築を、地震で壊れないようにするには?
壊れず燃えない建築のために
建物がどんな材料で建てられているかによって、木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造などと言います。また、日本の住宅のように柱と梁(はり)のある構造を「軸組み構造」、柱がなく壁だけで建てる建物を「壁式構造」と呼びます。材料と構造を合わせたものが、「構法」です。建物が地震や大風で壊れないように、構法にはさまざまな工夫がなされてきました。それでも被害を受ける建物はあります。それは未だ完成していないからです。構法の熟成をめざして改善の努力が続けられています。
伝統的な木造住宅に適した補強用デバイスの開発
例えば、地震で建物が壊れたとき、どんな現象が起きてどんな壊れ方をしたのか、実験と解析で解明しながら、改善方法を提案していきます。新しい作り方や補強方法を考えて、構法をより熟成させていくのです。補強方法には、壊れにくい壁を作るといったデバイスの開発と、デバイスを建物のどこに入れたらいいかという設計方法の開発があります。補強用デバイスの一つに、ゴムが伸び縮みすることで地震のエネルギーを吸収するダンパーがあります。比較的大きな建物用には実用化されていますが、伝統的な木造住宅に適したダンパーは開発途上です。ダンパー自体の開発と、それをどこに取り付けると効果的に作用するかの両面から研究が進められています。
住む人の思いに沿った補強方法が選べるように
「こういう家に住みたい」「この家のここを大切にしたい」という思いは人によって異なります。補強しようとしたとき、「この方法しか取れない」となると、大切にしたいことを犠牲にしなければならなくなってしまうこともあります。伝統構法の建物は「こうしか直せない」、「古いから建て直すしかない」などと言われてきました。科学的にメスが入ることで、伝統構法の良いところが見直され、最新技術を使えばいろいろな直し方もできることがわかってきています。家主の意見が反映されてベストな方法を選択できる状況を実現するために、さまざまな補強方法の研究が必要なのです。
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