科学的な経営学で、高い価値を生み出す「マネジメントサイエンス」
工学や情報処理の能力を経営に生かす
経営学の最近の流れのひとつとして、「マネジメントサイエンス」と言われる領域があります。工学や情報処理の能力を経営に生かす、いわば「科学的な経営学」です。統計、マーケティングの手法や情報工学の技術、つまり数学や理系の概念を使い、どうやったらものが売れるかなどの経営課題を解決しようという理論です。マネジメントサイエンスの研究は、企業との共同で、その企業の実際の問題点を見いだし、事業開発や商品開発をするという実践的な内容になります。
クラフトビールの販路拡大にチャレンジ
クラフトビールまたは地ビールと言われる、小規模醸造所が製造・販売するビールの販路拡大を例に、見てみましょう。クラフトビールは、地域活性化を進める地産地消物品として日本各地に広がりつつあります。あるビールは、県の名産品である六条大麦と全国有数の天然水を使って研究開発、製品化され、お土産として高い評価を得ています。
このビールを「お土産もの」から脱却させるための販売戦略とビジネスプランの策定、国内外の販売拡大のプロモーションについての研究が、企業と大学の共同で行われました。
世界に通じる価値の創出をめざす
さまざまなデータから、地産地消のクラフトビールは世界的なトレンドであり日本でも今後必ず伸びるという市場分析が行われ、プロジェクトの展開を、(ステップ1)地元に愛される→(ステップ2)都市圏へ供給する→(ステップ3)北米・欧州への展開、と設定しました。マーケティングも、ネットアンケートやグーグルトレンドを使ったネット上の関心ワードの動向把握など情報技術を駆使して行った上で販売戦略を策定し、最終的には本場である北米や欧州など世界でも認知されるブランド価値の創出をめざそうというのです。
科学的な手法を経営学に取り入れることで、みんなが思いつかないような革命的なアイデアを生み出すことができるのではないかと、「マネジメントサイエンス」は期待されているのです。
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