「やや大きい車」をコンピュータに探してもらうには?
ソフトコンピューティングとは?
コンピュータに何か計算させる場合、従来の厳密性が高い計算手法ではシステムが複雑化し過ぎて、中がよくわからなくなってしまったり、操作に人を介する必要があったりするという問題があります。この問題を回避するために近似式で置き換えようとすると、どうしてもずれが発生してしまいます。厳密さを手放し、若干の間違いはあっても大局的には合っているようにすることで、効率的な処理と安定的な運用を可能とするのが「ソフトコンピューティング」です。あいまいな情報を数値化するファジィ理論や、人間の脳の働きを模したニューラルネットワークなど、人間の思考や判断を真似ている手法を一括りにしてソフトコンピューティングと呼ぶようになりました。
「やや大きい」車を検索する
日常生活では、厳密な答えではなく、「だいたいこんな感じ」を知りたい場合が多々あります。人間同士のやり取りなら「あまり重くなくて画面が大きいパソコン」といった、あいまいな要望を伝えても答えてもらえます。コンピュータでも同様に、「やや大きい」といった形容詞や副詞を使って、自動車を検索できるシステムが開発されています。「やや」も「大きい」も主観的であいまいな表現ですが、「バスやトラックは大きく、軽自動車は小さい」といった、大局的な共通認識は存在するでしょう。それを明らかにするために、国内の全車種のサイズと販売台数のデータを使い、日常的によく見かける自動車のサイズを「普通」として、そこからどの程度離れているかで「やや大きい」などを決めています。これも、あいまいな情報を扱うソフトコンピューティングの一例です。
より曖昧で主観的な検索も
サイズよりもさらに曖昧で主観的な「カワイイ」「かっこいい」を使って、「ちょっとカワイイ」や「すごくかっこいい」といった検索も可能にしようと研究が進められています。個々人の好みを学習して、自分好みのものが探せるようになると、検索そのものがもっと楽しくなるはずです。
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東海大学 文理融合学部 人間情報工学科 教授 佐松 崇史 先生
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