部活動は心を鍛える? スポーツと心の関係を考える

部活動は心を鍛える? スポーツと心の関係を考える

部活動の質

一般的に、学校の部活動は心身の成長・発達だけでなく、人間的な成長にもつながるといわれます。スポーツ心理学のある研究にて、スポーツ部活動への「取り組みの質」が、その人の心理面にどのような影響を与えるかが調査されました。部活動の経験年数や成績といった要素ではなく、「部活動への積極的な参加」「目標達成に向けた取り組み」あるいは「部活動内でのメンバーとの深いコミュニケーション」などの要素を部活動への「取り組みの質」ととらえて、これらが「情動知能」に与える影響について研究したものです。

情動知能への影響

「情動知能」とは「心の知能指数(EQ)」と呼ばれる指標であり、自分や他者が持つ感情や欲求を正確に理解して、適切に自分の思考や行動を導く「社会的能力」を意味します。一般的には「情動知能」が高い人は共感力があり、他者と良好な関係を築くことができて、またストレス耐性や柔軟な思考、リーダーシップを持ち合わせているとされています。先天的な要素が大きい知能指数とは異なり、教育や学習を通して身につけられる点も特徴です。

心を数値化する

この研究ではスポーツ部活動の経験者を対象として、心理学の主要な調査方法である質問紙調査が使われました。「感情的になったときに自分の心の動きがわかるか」をはじめ、情動知能をはかるいくつかの質問項目を5段階で回答してもらい、その答えを点数化して分析されました。結果としては、やはり部活動の参加の質が高い人ほど、情動知能においても高い点数を示しました。競技経験や成績ではなく、取り組みの質次第で高い点数が見られた点も、本研究のポイントです。
情動知能を含む「人の心」は普段は目に見えないものですが、質問紙調査などの手法を使ってそれらを目に見える数値に置き換えられる点が心理学の特徴です。こうした研究はスポーツ以外の部活動をはじめ、私たちの生活全般に応用することも可能です。

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北九州市立大学 文学部 人間関係学科 准教授 柴原 健太郎 先生

北九州市立大学 文学部 人間関係学科 准教授 柴原 健太郎 先生

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スポーツ心理学、メンタルトレーニング

先生が目指すSDGs

メッセージ

武井壮さんの言葉に「大学は、好きことを好きなだけ学べる場所である。例えるなら値段が付けられない宝石が入った宝石箱を渡させれているが、その宝石を最終的にポケットに入れるかどうかを決めるのはその人次第である」というものがあります。私はこれを、4年間の大学生活を充実した時間にするかどうかは、通う人の主体性によって変わると解釈しています。これから大学に進むあなたには、ぜひさまざまなことにチャレンジし、たくさんの知識を吸収して、できるだけ多くの宝石を身につけて卒業できるように、頑張ってもらいたいです。

先生への質問

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北九州市立大学は、文系4学部・1学群(北方キャンパス:外国語・経済・文・法学部、地域創生学群)、理系1学部(ひびきのキャンパス:国際環境工学部)を擁する公立の総合大学です。
産業技術の蓄積、アジアとの交流の歴史、環境問題への取組といった北九州地域の特性をいかし、「地域に根ざし、時代をリードする人材の育成と知の創造」を目指し、「選ばれる大学への質的成長」「大学のプレゼンス(存在感)」「環境・地域・アジア」をキーワードに、語学教育、環境人材育成、地域人材育成に力を入れています。