からだの動きを可視化! より質の高いリハビリの実現に向けて

アバター生成にも使われる動作解析
人の体の動きを測定し、数値で可視化・分析する「バイオメカニクス」という分野があります。これは、バーチャルリアリティでアバターを生成する際などにも活用されている技術です。
理学療法では、バイオメカニクスと運動生理学を組み合わせて、人の体の動きや制御のメカニズムを明らかにし、効果的なリハビリテーションに役立てようとする研究が進められています。特殊なカメラやセンサで運動中の姿勢や筋肉の動きをとらえ、健康な人が「歩く」「手を伸ばす」などの動作をどのように行っているのか、姿勢が崩れたときにどのようにバランスをとっているのか、といったことを解析します。病院などの現場では、脳卒中の後遺症によって体の動きに支障をきたしている人の動作を解析し、リハビリテーションに応用することもすでに行われています。
「できる」の思いはさまざま
リハビリテーションでは、理学療法士が見て「できる」と判断した動きが、必ずしも患者本人が満足のいく「できる」になっているとは限りません。日常生活を送るには問題なく歩けるようになっていたとしても、「もうすぐ娘の結婚式だから、短い時間でも姿勢よく堂々とバージンロードを歩けるようになりたい」という思いを持っていることもあるのです。
もちろん、すべての人が完全に回復できるわけではありません。しかし、体の動きや筋肉の働きを可視化して、どこに問題があるのかを見つけ、それに対応した理学療法を行えば、潜在能力の範囲内で動きの質を高めることは十分に可能です。
世界に誇れる日本のリハビリテーション
重症の人は対象としないことが多い海外に比べて、日本は重症度に関わらずリハビリテーションを受ける機会が広く用意されており、世界から高い評価を得ています。バイオメカニクスや運動生理学を用いて対象者の「できる」を支援する研究がさらに進み、現場で広く活用されるようになれば、日本のリハビリテーションはさらに世界に誇れるものへと発展することが期待されます。
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高崎健康福祉大学保健医療学部 理学療法学科 准教授冨田 洋介 先生
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