北欧から学ぶ未来の教育と社会

北欧に学ぶ市民参加の教育
北欧諸国、特に地方分権が特徴的なデンマークでは「下からの民主主義」を重視した教育が行われています。19世紀の牧師・思想家のグルントヴィによる「民衆の覚醒」という考え方が今も生きており、「市民として社会に参加する力」を育てることを大切にしています。例えば生徒会は、学校内の活動だけでなく、地域レベル、さらには全国組織を持ち、教育政策について提言を行っています。また、公共交通や自治体の余暇施設について高校生の意見が政策に反映されることもあり、北欧の若者は自分たちの声で社会が変えられると実感しています。この対話と参加の仕組みは、私たちの社会をより良くする可能性を秘めているのです。
多様なライフコースを認める社会
デンマークでは、高校卒業後から大学入学前に、1~3年間の「ギャップイヤー」を取る生徒が多いです。そのギャップイヤーの期間に、仕事を経験したり、貯めたお金で長期に渡る海外旅行に行ったりして、自分のこれからの進路についてじっくり考えます。そのため、大学進学時の年齢はまちまちで、社会人になってから大学に戻る人も珍しくありません。年齢も経歴も違う人々が互いを尊重しながら学ぶ環境は、私たち一人一人の人生をより豊かにする選択肢を広げてくれるはずです。
子どもの権利と参加の仕組み
デンマークでは「利用者民主主義」という制度があります。これは学校や保育園、高齢者施設など、公的サービスを利用する市民の声をそのサービスの政策に反映させる仕組みです。例えば高齢者の政策の決定には、当事者である高齢者の声を聴かなければなりません。若者についても同じで、デンマークでは「若者こそが若者の領域の当事者であり専門家である」という考え方があるのです。生徒会やユースカウンシル(若者議会)は、大人が、「若者の専門家」である若者の声を聴き、対話し、合意形成をするための仕組みになります。
デンマークのこうした実践は、未来の日本社会に新たな対話の文化を育むヒントになるかもしれません。
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