地域の持続可能性を高める「地域通貨」の力
地域通貨とは
円やドルといった政府が発行する法定通貨に対して、「地域通貨」は誰でも発行することができ、その通貨を受け入れる商店での買い物に使用できます。海外では地域通貨がその地域の活性化に貢献した多数の事例があり、日本にも岐阜県の飛騨地域の「さるぼぼコイン」や、東京都の早稲田・高田馬場地域で使える「アトム通貨」といった例があります。2007年の新潟県中越沖地震の被災地である新潟県柏崎市でも、大きな被害を受けた地元商店街を活性化させるために「風輪通貨」という地域通貨がつくられ、今でも流通しています。
ゲームを通して知る
「風輪通貨」の導入にあたり、地域の市民や若者に地域通貨の仕組みを理解してもらうためのゲームがつくられました。ゲームの参加者は地元商店役と消費者役に分かれます。消費者役が買い物をする際は、地元商店と、それより2割ほど価格の安いインターネット通販のどちらで買うかを選択できます。当然多くの人がインターネット通販で購入しますが、最終的に地元のお金のほとんどが地域外へと流れてしまい、地域が破産します。次にその地域でしか使えない地域通貨を投入します。すると消費者役はその通貨を使って地元で買い物をするようになり、結果的に地域の経済が持続するようになる、というプロセスを体験するのです。
グローバルとローカル
現在、私たちを取り巻く地球温暖化や格差の拡大といった問題は、資本主義社会の中で飽くなき経済成長を求めてきた一つの結果であるといえます。しかし、このまま経済成長だけを追求していけば、地球資源はいつか枯渇し、環境も破壊されてしまいます。持続可能な社会は望むべくもありません。
「Think Globally, Act Locally.=世界を意識して、地域で行動する」という言葉があります。地域経済を活性化し、地域社会を持続させるための仕組みを研究して社会に広めていくことは、多くの地域が集まって構成される地球全体の持続可能性を高めることにもつながるのです。
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