地域を次代へつなぐ、身近な金融機関とは
信用金庫の支店が街に多い理由は?
預金をするだけでは違いが見えにくいのですが、信用金庫(信金)や信用組合(信組)と一般の銀行とでは、金融機関としての業務範囲が異なっています。大きな違いは、信金や信組は、活動エリアに制限があり、取引先も一定規模以下です。事業の目的は、地域との共存共栄・地域の活性化です。地域経済をスモールビジネスから元気にしていくことです。地域の会員や組合員との相互扶助から歴史が始まっているので、まさに地域と一体であり、言い換えれば、地域外に出ていくことはできません。
地域商社で地域をサポート
2021年に法律が改正され、信金や信組は融資をするだけでなく、子会社として「地域商社」を立ち上げられるようになりました。地域商社ではまさに地域を元気にするための取り組みをしています。商品開発や既存商品の改良、販売先のマッチングなどを、地域の中だけでなく、全国におよぶ信金のネットワークを生かしてサポートしているのです。例えば、商品化で必要な資材の仕入れ先を紹介する、商品のサイズを提案するといった例もあります。顧客となった商店街の名物飲食店が次の世代に事業をしっかり受け継いでいくこと、一人で始めた新しいビジネスが人を雇用できるほどに成長していくことなどで、地域は活力を得ていくのです。
長期的な調査研究が必要
地域全体の活性化は一朝一夕でできることではありません。その中で期待されている信金や信組の地域商社活動は、人口減少や働き手不足に悩む地方において、今は一歩ずつ成功事例を増やしていく段階と言えるでしょう。地域にとって必要な商店や中小企業からのニーズに応えながら支援を行い、顧客が本業で利益を出して返済ができるよう、事業者としての足腰を強くする仕組みも重要です。
経済学には「地域金融」という研究領域があります。事例を集め、トータルに分析して、研究対象である信金や信組の事業活動と同じく、地域を元気にするための研究だと言えます。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。