世界中の海から届く食卓の魚たち!
多国籍になった魚たち
スーパーマーケットなどで魚を見ると、さまざまな国から輸入されていることがよくわかります。例えばタコは、明石のタコが有名ですが、遠くアフリカのモロッコやモーリタニアなどからもきています。2014年の1年間で、1兆2千億円の魚介類を世界中の100以上の国から輸入しており、日本の総輸入額86兆円の約1.5%にあたります。日本で獲る魚の量だけでは国内の消費量に足りないことや、多様な魚を求めて、世界から輸入しているのです。また、日本の漁船は、日本近海だけでなく、世界中の海で魚を獲っています。例えばカツオやマグロは、太平洋の国々が管理する海でも獲っています。このとき、日本の船が外国の排他的経済水域で獲ったカツオやマグロを日本の港に水揚げすると、「産地:太平洋」のようになりますが、実際には日本から遠く離れた海からきているのです。
複雑化する水産資源をめぐる交渉
現在、各国は沿岸から200カイリ(約370km)の範囲で排他的経済水域を設定しています。この範囲は沿岸国に水産資源の管理が任されており、そこで漁業をしようとすれば、その国の許可が必要です。そこで漁業交渉が行われますが、タダというわけにはいかず、対価を支払うことになります。現在のように多くの国が魚を獲るようになると、漁業交渉での条件がより厳しいものになっていきます。先にあげた太平洋の国々が管理する排他的経済水域内でのカツオ・マグロ漁業の入漁料は年々高くなってきています。
資源を守るための国際的な取り決め
魚は生物なので、将来にわたって利用していくためには、獲りつくさないように資源を守ることも必要になります。そのため各国が交渉してルールを決めています。例えばビンナガマグロを獲りすぎているということで、漁業活動を10年前ぐらいの水準に戻すことが決められました。私たちが日常的に食べている魚は、こうしたさまざまな国際的な交渉を経て食卓に並んでいるのです。
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先生情報 / 大学情報
大阪商業大学 経済学部 経済学科 准教授 柴田 孝 先生
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