「ビッグデータ時代」に求められる統計学とは?
早い意思決定のために
ビッグデータ時代の今、非常に多くのデータがオンラインで入手できるようになりました。社会や経済市場は、個人・企業・財・設備・知識・技術といったさまざまなヒト・モノ・サービスなどの構成要素からなり、これらの情報がインターネットを通じてオンラインで世界中を飛び交っています。個人・企業・官公庁といった行動主体において、いま求められているのは、それらのオンラインデータを高い精度で分析して、できる限り早い意思決定を行う統計的手法をもちいることです。
オンラインデータに対する統計学が求められるわけ
オンラインデータに対する統計学の利用として、テレビ局各社が発表する「選挙速報」があります。得票率の高い候補者の場合には、選挙速報の早い段階で当選することが判定できます。しかし、支持率が拮抗(きっこう)した2人の人気候補者がいた場合、なかなか当落の判断ができません。得票率の高い候補者の場合は少ないサンプルサイズでも十分な精度が得られますが、一方得票率の拮抗した候補が2人いると、より多くのサンプルサイズがないと当落に関して精度の高い分析ができないのです。メディアが「当選確実」を発表したにもかかわらず、結果落選してしまう候補者がでてしまうのはこうした理由があります。早い時点で結果が推測できる場合と、正確な推測をするのに時間がかかってしまう場合があります。
「機会損失」をなくすための「停止時刻」
例えば、商品の売れ行きは地域ごとに違いますが、企業は市場に合わせて生産設備や流通システムをつくります。そこで売れ残りがあれば損をし、逆に売れるチャンスがあるのに在庫がなければ売り逃してしまいます。これらを「機会損失」といいます。市場における需要を予測し、「機会損失」をできるかぎり発生させないためには迅速な意思決定を行うことが重要となります。この意思決定を行う時点を「停止時刻」といいます。「停止時刻」をもちいる統計学がビッグデータ時代に求められます。
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先生情報 / 大学情報
横浜国立大学 経済学部 経済学科 教授 永井 圭二 先生
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