名前のない困難に寄り添う 地域の健康を支える保健師の役割
看護職の1つ、保健師とは
「看護職」といえば、病院に勤務する看護師を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は「保健師」も看護職の1つです。保健師は、病気の有無に関わらず、全てのライフステージにある人の「健康」が保持できるように援助を行います。子育て期では健やかな育児ができるように、相談援助を行います。働きざかりの世代には、労働生活と生活習慣のバランスをとりながら生活習慣病の予防行動がとれるようサポートします。高齢期では、自分らしい生活が継続できるよう支援します。個別支援をしながら、地域のネットワークやケア資源などのさまざまな情報を駆使し、コミュニティケアにつなげていく役割を担っています。
ケアが必要なのは急性期だけじゃない
保健師は、その人が生活する上で困っていることは何か、どうすれば望んでいる暮らしを実現できるのかということに着目したケアを行います。例えば、脳梗塞になったものの重症化に至らず、要介護認定を受けずに日常生活を送る人たちもいます。周りから見れば、今まで通りの生活を送っているように思えるかもしれません。しかし、そうした人たちにヒアリング調査を行ったところ、以前の身体状況との違いからさまざまな思いやニーズがあることが判明しました。「以前より疲れやすい」「体がだるい」「時々頭痛がある」などの身体的なことに加え、そうした困りごとを「コミュニティの人々に理解してもらいにくい」といった悩みを抱えていたのです。
名前のない困難を抱える人たちも豊かな生活を
「育児不安」「要介護」「生活習慣病」といった状態や病気については、すでにそうした人をサポートする制度はたくさんあります。しかし、現状の保健医療福祉の制度では救いきれていない人もいるのが現実です。その制度の枠組みに入らない人たちにも、生活する上でさまざまな困難が生じている場合があります。そのような「名前のない困難」の中にいる人たちに寄り添い、地域の中で豊かな生活を送れるようサポートする「予防活動」が、保健師の大きな役割なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。