ICTを使って糖尿病患者さんの生活を支える

一生付き合わなければならない糖尿病
血糖値が高くなる糖尿病の患者さんは、年々増えており、日本人の6人に1人が糖尿病かその予備軍と言われています。糖尿病自体は命にかかわる病気ではないのですが、心筋梗塞などの合併症を防ぐために、血糖値をコントロールしながら、一生付き合っていく必要があります。そのためには、食事制限や運動が基本になりますが、患者さんがライフスタイルを変えるのが難しいという課題があります。そこで、定期的な受診を通して患者さんが医師に相談したり、病院が開催する「患者会」で患者さん同士が情報交換などをすることで、生活習慣の改善をサポートしています。
直接会えない患者さん同士を結ぶICT
糖尿病患者は40〜50代の中高年以上に多いのが特徴です。働き盛りのため、患者会になかなか参加できない場合があります。また、病院でも患者さん同士が話す機会があまりなく、横のつながりが少なくなっています。そんな問題を解決するのがICT(情報通信技術)の活用です。
スマホなどで投稿・閲覧できる電子掲示板が、患者さんの交流の場として活用されています。「ケーキを食べてしまった」などの悩みを共有したり、「その分、1万歩のウォーキングをしましょう」など互いにアドバイスが交わされたりしています。
患者さんの心に寄り添うサポートシステム
患者さん同士を結ぶねらいは、情報や知識の交換だけでなく、血糖値をコントロールし、合併症を防ぐために、生活習慣そのものを変える「行動変容」を促すことです。中でも、食事制限はストレスがかかり、患者さん自身がいかに楽しんで工夫するかが重要なポイントです。ICTを使ったさまざまな情報共有はきわめて日常的で一般的な時代になってきました。
すでに欧米では、ICTを利用した「テレナーシング」と呼ばれ、以前から導入されていました。日本でも急速なICTの普及によりこれからますます必要とされるシステムになるでしょう。
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先生情報 / 大学情報

四條畷学園大学看護学部 看護学科 教授藤永 新子 先生
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