病院だけが病気を治し、ケアする場所ではない
地域も巻き込む本来のチーム医療
日本の医療現場では、これまで何となく看護師は医師の補助的な職業という雰囲気があったかもしれません。しかし「チーム医療(多職種連携)」の必要性が説かれて、それが進展していった結果、様子は変わり始めています。また、チーム医療というと病院内のスタッフが連携して実践すると考えられがちですが、実は地域の保健師やケアマネジャー、各種施設の職員など「医療に関わるすべての人」が結びついてくるのです。そのような環境を整えたうえで患者の人生を充実させることを考える必要があり、現在もその点が重要視されています。
より良い医療の実現のため、変化は続く
ところで、医療に関わる職種は数多く、医療関係者同士でも「あの人は何のプロフェッショナルなのか」をしっかりと把握できていない場合があります。この点については、より良い医療と患者の暮らしを実践するためにも、互いの専門性を知ってリスペクトすることが大切です。すでに現在、チーム医療のメンバーが集まって、患者の入院中や退院後の過ごし方などについて話し合う場が設けられています。今後はその話し合いの質を高めるために、互いの連携をもっと深める新しい方法なども見つけ出して、現場で活用していくことが求められます。
若い世代の実力を生かしきるために
一方、これから医療従事者、特に看護師になることを希望する学生を対象とした研究も進められています。人の命にも関わる仕事をするからには、どうしても「失敗したら怖い」という気持ちがつきまといます。そのため資格取得に必須の実習に行く前に、入念なシミュレーション教育を行います。それを体験した学生としていない学生が実習後にどんな違い、あるいは変化を示すのか、インタビューやアンケート調査なども使って分析していこうというものです。これはまだ調査中ですが、その成果が出れば、医療の質の向上や、若手の失敗を恐れる気持ちの軽減ができるようになるのではないかと期待されています。
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