自分を理解し、「感情知性」の高い看護師をめざそう!
なぜ、対人関係に悩むのだろう?
人がコミュニケーションをする時に、いろいろな感情や思いがついてきます。そんな感情や思いをお互いに大切にすることが、コミュニケーションでは望ましいと考えられています。ところが近年はSNSが盛んになり、そこでは言語のやりとりが中心で、言語ではない表情や雰囲気を直接感じ、そこから相手の気持ちを想像する機会があまりありません。そのようなやりとりで、相手の感情や思いをくみとる力が弱まり、同時に自分が相手にどう受けとめられているかがわからず、コミュニケーションや対人関係に悩む人が増えています。
他者理解ができても、自己理解が苦手?
病気の患者を支える看護師も悩みは同じです。看護師は、他人の感情や思いを理解しようとする「他者理解」の傾向が一般の人より高いというデータがあります。しかし、自分の感情や思いを理解する「自己理解」は、「他者理解」より低い傾向にあります。そこから生じる自分や仕事への不安が、離職にもつながっています。「自己理解」には、他者からの評価やフィードバックが欠かせません。看護師長や同僚、信頼できる人からの評価が自己理解の助けになります。「仕事を丁寧にやってくれていてうれしい」と言われれば、自分に自信が持てます。「あなたは黙っているとちょっと冷たそうに見える」と言われたら、なるべく笑顔を心がけようと工夫できます。「自己理解」は、円滑なミュニケーションに役立つのです。
「感情知性」を高めて、看護に貢献
「自己理解」が進めば、自分の心が傷つき、嫌な気持ちを抱えた時に、セルフケアで回復できます。セルフケアは「お気に入りの紅茶を飲む」「アロマのお風呂に入る」など、ささいなことで構いません。そういうことで自分はリラックスできると知っておくことが大切です。自分や他者の気持ちを理解し、自分の感情をうまく調整して他者との関係を円滑に保つ能力は「感情知性」と呼ばれています。看護師も感情知性を高めて、自分を大切にできれば、患者や周囲の人にも良い影響を及ぼせるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
新潟県立看護大学 看護学部 基礎看護学領域 基礎看護学 教授 岡村 典子 先生
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