支援が必要な母親をささえる仕組みづくり
自治体で働く保健師の仕事
自治体保健師は、都道府県や市町村に勤務し、地域で暮らす人々の健康を見守る役目を担っています。赤ちゃんから高齢者まで、様々なライフサイクルにある人々を対象にするので、仕事も育児相談から生活習慣予防健(検)診や保健指導、認知症対策など多岐にわたります。例として「母子保健」を挙げましょう。母子保健は子どもを対象にした支援と考えられがちですが、子どもを育てる母親へのかかわりがとても大切です。保健師は、おもに妊娠中の母子手帳の発行から、子どもの小学校就学前までかかわります。
10代の母親支援を考える
10代で出産したお母さんは、子育てのこと以外にも出産後に学業を続けたい、仕事をしたい、といった、将来を見据えた多様なニーズを持っています。地域で活動する中で、保健師がそうしたお母さんのニーズに気づき、グループでの支援を立ち上げた自治体もあります。グループでは、母親同士やスタッフとの交流を通して、子どもとのかかわり方や保育園・幼稚園などの入園情報、就職活動する際の窓口など、たくさんの情報交換をする場になっています。10代で出産するお母さんは、全体の出生数のうち0.8%ととても少なく、地域で行われている子育て支援事業の参加者と年が離れていることに疎外感を感じることもあるので、年齢の近いお母さん同士で話し合うことができる、こうした場はとても貴重です。
お母さんの生い立ちを踏まえた支援のあり方
18歳までの有害な体験と長期的な健康との関係を特定する、逆境的小児期体験(ACE)という指標があります。ACEの多さは、子ども期の発達や健康状態に大きな影響を及ぼすとされています。10代のお母さんは他の世代のお母さんと比べてACEの数が多いといわれていることから、なるべく早い時期に、妊娠前までの生活状況についてお話を聞くことが大切だと考えられています。また、お母さんにかかわる多くの支援者がACEとその影響について知ることも必要です。
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関西医科大学 看護学部 地域看護学領域 教授 大川 聡子 先生
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