サッカーで勝つには数学を! データサイエンスを活用するカギ
データサイエンスを災害時の対策立案に
2011年の東日本大震災の後、首都圏では計画停電が行われました。気温と電力使用量、工場の稼働日や時間帯と電力使用量の関連などを調べることで、先々の使用量を予測して工場稼働日変更の依頼をしたり、生活に大きな支障がないように停電の計画を立てたりと、震災による電力不足の対策が取られました。また、新型コロナウィルスのパンデミック中には、感染者数の増減予測から感染防止対策が講じられました。
このように施策を適切に立案し実施することができたのは、データから将来が予測できるデータサイエンス技術のたまものです。
サッカーにデータサイエンスを応用すると
インターネットや計測機器の発達で、あらゆる分野で、これまで測れなかったものが測れるようになったこともデータサイエンスの重要性を高めています。
例えば、サッカー選手にGPS機器をつけることで、25分の1秒という単位で試合中のすべての動きを記録できます。そのデータを分析することで、選手の走る速度や疲れ具合までわかり、勝つための戦略作りや練習に役立てられます。従来、監督の経験と勘で決められていたことも、データサイエンスで論理的に説明できるようになり、説得力や精度が上がりました。
統計学や数学の役割
データ分析には統計学や数学が使われます。サッカーの例なら、選手の移動距離を時間で割って速度がわかります。新型コロナの感染者数予測では「微分方程式」が使われました。「幾何」や「行列」が用いられる場合もあります。
また、分析の前にはデータの特徴をつかんで前処理を行います。例えばサッカーでは、1試合の選手の走行距離に注目するとき、ゴールキーパーのデータをチームの「走行距離の平均」に入れることは意味がないので取り除いた方が良い。こうしたデータの特徴は、統計手法の一つ、「ヒストグラム」を作ることで把握することができます。
このように、統計学や数学の知見の有無が、さまざまな角度でデータ分析、データサイエンスを活用するカギとなるのです。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 理学部 数学科 教授 山本 義郎 先生
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