QOLを高める、理想のモビリティに貢献する乗り心地の研究
心理学を応用した、「乗り心地」の研究
現在、リニア鉄道、自動運転車、電気自動車、超小型車など、さまざまな新しい移動手段の研究開発が進んでいますが、そこで共通の課題となっているのが、「乗り心地、移動の快適さ」です。移動スピードや安全性に加え、乗っている人のストレスをなるべく軽減するための研究が注目されています。
例えば自動車であれば、ドライバーや乗員のストレス軽減策です。ハンドルからドライバーの心拍数など生体情報を検知します。ストレスを感じているかといったドライバーの心理状態を、心理工学に基づいたプログラムによって推測し、揺れや音、温度など車内の環境を細かく調整できる技術が開発されています。
リニア鉄道の揺れを制御する
また、日本でも建設が進んでいるリニア鉄道も、乗り心地は重要です。磁石の反発力を利用して車体を浮上させるため、高速で移動できるメリットがある一方で、何両も連結された車両が時速数百キロで走るときの振動、揺れが激しくなります。乗っている人のストレスや安全を考えると、いかに揺れを抑えるかが非常に重要です。そうした研究の一環として、もっとも揺れを制御しにくい、柔らかいもの、金箔などのような薄くて軽いものを磁気浮上させて動きを制御する研究が進んでいます。この技術は、鉄道だけなく、さまざまな用途に応用できると期待されています。
人間のQOLを高めるモビリティの多様性
人間が幸せに暮らしていくためには、「衣食住」が満たされていることが不可欠ですが、現代社会ではそれに加えて、「移動(モビリティ)」が快適であることも重要です。高齢者や体の不自由な人でも自由に快適に移動できれば、あるいは乗っていることを忘れるくらいリラックスできる乗り物ができたら、すべての人の生活の質を上げることができます。そのためには、乗り心地を含めたさまざまな性能、用途をもった乗り物が生まれ、多様な交通手段から、それぞれの人の事情にあわせて選べるモビリティの未来が理想といえます。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 工学部 機械システム工学科 准教授 加藤 英晃 先生
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