あらゆる子どもが学びやすい学校環境をつくるために

あらゆる子どもが学びやすい学校環境をつくるために

人とコンピュータをつなぐインタフェースデザイン

マウスやキーボード、タッチパネルのような、人とコンピュータの間に立って情報のやりとりをする接点のことを「インタフェース」といいます。ユーザーにとって使いやすいインタフェースにするためには、人の行動や身体の仕組みをよく理解したり、「楽しい」といった感性をうまく数値化してデザインに反映させたりすることが大切です。私たちが普段使っているスマートフォンなどのデザインにもこうした考え方が取り入れられています。日常的に使用する機器だけではなく、学校で使う教材にも適用されています。最近の学校では、タブレットなどのICT(情報通信技術)を活用した授業が展開されています。障がいのある子どもを含む、あらゆる子どもたちにとって使いやすいデジタル教材の整備や、その効果的な使い方を検証していくことが求められています。

見えにくさによるICT活用の課題

とくに視覚障がいのある子どもは、ICTによって受ける恩恵も大きいですが、一般的なICTの活用法ではうまくいかない場合もあります。なぜなら、私たちが普段何気なく使っているスマートフォンやタブレットは、操作のほとんどを視覚情報に頼っているからです。見えにくい子どもたちにとってICTをより使いやすいものにするためにも、インタフェースデザインは重要です。例えば、見えにくさによってタブレットの使いやすさはどれ程低下するのか、触覚や音によるフィードバックを与えることで操作ミスやフラストレーションはどの程度改善されるのか、といったことがわかってきました。こうした成果を踏まえながら、あらゆる子どもが使いやすいデジタル教材の開発などが行われています。

共生社会の実現に向けて

現在はさらに、学校における子どもの様々なデータを記録・分析して指導や支援につなげる研究や、障がいのある子どもへのVRを使った授業実践などの研究も進んでいます。あらゆる子どもが学びやすい学校環境をつくっていくことは、共生社会の実現のためにも大切なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

静岡大学 情報学部 行動情報学科 講師 西村 崇宏 先生

静岡大学 情報学部 行動情報学科 講師 西村 崇宏 先生

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人間情報学、感性工学

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メッセージ

高校生のうちは、進学先選びが非常に重要な決断に感じられると思います。幅広い学問分野のなかから何を学ぶべきか、迷うこともあるでしょうが、大学の専攻だけで自分の将来が決まるわけではありません。大学を卒業してからも、新たなスキルを身に付けたり、他の分野に興味が移ったりすることは当然あると思います。好きなことを自由に学べる大学は、「学び方を学ぶ場所」でもあります。その力を楽しみながら磨いていくためにも、あなたの「もっと知りたい」という好奇心を大切にして進学先を考えてみてください。

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静岡大学は、7学部を擁する総合大学のメリットを生かし、学生の知的探究心に応えることができる幅広い学問領域の教育を実施しています。大学の理念は「自由啓発・未来創成」であり、これは自由によってこそ自己啓発を可能にし、それを通じて、平和かつ幸福な未来を創り出すとの力強い思いを表明しています。
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