遊びにも社会貢献にも、手軽に活用できるデータサイエンスの世界
最先端の電子工作とは?
シングルボードコンピュータ「ラズベリーパイ」はわずか数千円で、世界で1800万台近くが販売されています。これにセンサ、モータ、マイクやスピーカなどをつなげれば、工作感覚でロボットやAI(人工知能)スピーカを作ることができるのです。このツールによって、あらゆるものをインターネットでつないで活用する「IoT(モノのインターネット)」や、データを処理・分析する「データサイエンス」の世界を気軽に体験できるようになりました。
脳波で文字を入力する装置
データサイエンスの中で注目されるのは、データから共通するパターンを見つけ出して、将来を予測するデータ解析、つまり「機械学習」です。これを応用して、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など、全身の筋肉が動かなくなる病気の患者さんが使うための、脳波で文字入力をする装置の開発が進められています。その仕組みは、まず五十音表を示したディスプレイを用意し、患者さんに入力したい文字を見つめてもらいます。その後、五十音表の行と列をランダムに光らせます。入力したい文字の入った行や列が光ると特有の脳波の波形が現れるので、波形が現れた行と列の交差部分から入力文字を推測するのです。
しかし、脳波には大きなノイズが含まれています。ノイズのない脳波のデータを得るために、フィルター処理をして、さらに回数を重ねて統計処理をして、共通する波形を抽出する必要があります。
データの統計処理と解析が成功の鍵
この技術を利用すれば、波形が現れる時間によって認知症の可能性を推定できます。また、アルファ波やベータ波などの脳波を測ることで、感情も推定できます。さらに、現在は頭部に電極をつけて脳波を計測していますが、電極をつけない磁気センサで脳波を測る研究も進められています。将来的には、座るだけで脳波・体温・心拍・血圧などのデータが得られるスマートチェアの実用化も夢ではありません。
IoT、AI、ビッグデータなどと関わり合いながら、データサイエンスは進化しているのです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
名古屋大学 工学部 電気電子情報工学科 教授 古橋 武 先生
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データサイエンス、電気電子情報工学先生が目指すSDGs
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