ペットの高齢化でニーズが高まる、国家資格の愛玩動物看護師
健康なペットと病気のペットをサポート
今、ペットの高齢化が進んでいます。生活環境の改善や獣医療の高度化によって平均寿命は伸びており、犬は14歳、猫は15歳といわれています。愛玩動物看護師は、少しでも長く健康でいられるように、また疾患を抱えたペットたちも幸せな時間を過ごせるようにサポートしています。
動物が高齢化すると、がんを発症したり、寝たきりになると床ずれを起こしやすくなります。床ずれの予防に高反発マットが有効であることが明らかになり、家庭で褥瘡(じょくそう)発生のリスクを評価するためのチェックリストも作られました。こうしたことが、愛玩動物看護師から飼い主へのアドバイスに生かされています。また、栄養面も大切です。飼い主に話を聴き、どんなものなら食べてくれるかを探ります。
死別前後のケアも
ペットの寿命は人間より短いため、死別は避けられません。ペットの余命を告げられると飼い主はショックを受けますが、このような誰にでも当たり前に起こる心と身体の反応のことをグリーフといいます。また、悲しむ飼い主の姿をみている動物も、悲しい感情が生まれます。つまりペットもグリーフを感じます。生前のグリーフケアは、ペットが亡くなるまでの過ごし方をペットの目線を大事にしてサポートします。ときには、飼い主に楽しい思い出を振り返ってもらうこともあります。
また、動物がどんな思いや環境で最期の瞬間を迎えるかにも意識を向けます。飼い主が立ち会えないなら、スマホのビデオ通話を提案することもあります。その瞬間を飼い主もペットも穏やかに過ごせるよう考えます。
ニーズが高い研究分野
こうしたケースが増えていることから、チーム獣医療体制の強化が求められています。それに伴い、動物看護師は2023年に「愛玩動物看護師」という国家資格となりました。しかし、動物看護に関する研究はまだ不十分です。ペットと飼い主の双方のケアができる動物看護の研究の充実が急務となっています。
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先生情報 / 大学情報
麻布大学 獣医学部 獣医保健看護学科 講師 小野沢 栄里 先生
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