障害のある人もない人も、大切なQualiyt of life
障害はどこにあるのか?
障害は個人の側にあるのでしょうか。社会の側にあるのでしょうか。障害に対する考え方は、時代とともに大きく変わってきました。福祉学では、個人と環境の間に生まれるギャップ(=障害)に着目し、個人や環境にどのように働きかけるかを考えることによって、支援や問題解決のアプローチを探ります。自由に出かけたり、働いたり、学んだり……誰もが普遍的に持っている権利を、障害のある人も同じように持てているかどうか、そのためにどのような環境や社会のありかたが大切になるか、人権の視点に根差した研究がされています。
人を中心に支援を考える
福祉学の研究は、「常に現場に立ち戻る」のが特徴です。現場で起きていることをどう理論化するか、あるいは理論をどう実践するか、両方を行き来しながら、個人、組織、制度レベルで探求します。障害のある人の支援についていえば、障害当事者の声や経験を大切にすることが大前提であることは、国際的な共通認識となってきました。特に、知的障害のある人の声は軽んじられやすかった歴史的経過もありますが、最近では知的障害当事者の人が共同研究者となるインクルーシブリサーチにも注目が集まっています。
Quality of lifeを求めて
一人ひとりの声を大事にすること、一人ひとりの暮らしを大切にするためにどうしたらよいかを考えるのも福祉学においては重要なテーマです。日本では、知的障害のある人の場合には、成人後も家族と暮らし続ける人が圧倒的に多く、自分がどうしたいかよりも、親や家族のライフスタイルに合わせることになりがちです。誰もが、一人で何でもできるようになったから独立するわけではありません。また、誰もが親元を独立したいと願うわけではありませんが、何かができなくてもできないままで自立は可能だという道筋を示していくことも、人権やQuality of lifeの視点からは重要なことだと考えられます。
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