英語で「根回し」は何? 言語を習得するもう一つの意義

言語と文化
言語は、それが用いられる国や地域の文化と深く結びついています。例えば、日本では黒・白・赤といった色には「重要」「格調高い」といったイメージがありますが、ピンクにはそうしたイメージはありません。この背景には、ピンクが外来語であり、カタカナで表記されることが要因として考えられます。また、日本には物事を円滑に進めるために、関係者に事前に説明し、同意や協力を得る「根回し」という言葉が存在します。しかし英語にはこれに合致する言葉はなく、こうしたコミュニケーションの取り方も、英語圏ではほとんど見られません。
言語とジェンダー
言語は、ジェンダー(性別の役割)に大きく影響を受けるという特性もあります。「周囲に自身の優位性を示す」「競争に打ち勝つ」ために言語を用いることは男性的、相手との関係性を築くために言語を用いることは女性的とされています。例えば男性が会社では積極的に発言するのに、競争のない家庭では無口になる、あるいは女性がすでに答えや解決策がわかっている話題でも、積極的に話して聞いてもらおうとする事例が典型的です。こうした違いは、しばしば男女間に摩擦を引き起こします。
コミュニケーションの変化
文化やジェンダーだけでなく、社会を構成する多様な要素と、言語は深く結びついています。そのため、新しい言語を学ぶことは、文法や語彙(ごい)を覚えるだけでなく、その言語が使われる社会への理解を深めることにもつながります。例えば、直接的な関係を好むアメリカ人が「根回し」という言葉を知ることで、新たな人間関係の構築方法を学ぶことも、その一例といえます。
また、社会は常に変化し続けるため、言語を使ったコミュニケーションも絶えず変化を続けます。近年では、外国人の増加が日本のコミュニケーションを変えると懸念する声もありますが、恐れる必要はありません。言語はこれまでも幾多の社会変化を反映してきたのであり、今後も社会の変化に応じて新しいあり方を示し続けるはずです。
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