社会的弱者を守り、自立へ導く「社会福祉士」
社会的弱者と支援制度を結びつける社会福祉士
社会福祉士とは、どのような仕事をするのでしょうか。世の中には、病人や高齢者、障がい者、貧困者などのいわゆる社会的弱者と呼ばれる人々がいます。行政は、そのような人々を助けるための社会福祉制度を用意していますが、それを知らない人や利用することが困難な人もいます。そこで、そのような制度を利用できるように支援するのが、社会福祉士の役割なのです。例えば、認知症の人は自分で財産管理ができない場合があります。これに対しては「成年後見人制度」があります。認知症の人は自分でこの制度の手続きができないため、社会福祉士が関係者に対して事情を説明し、手続きを代行します。
多様な価値観と広い視野を身につける
ただ、このような支援は機械的に行われるわけではありません。というのも、人によって状況が違い、悩みや希望も異なるからです。そこで、社会福祉士は、まず相談者の状況や意向を知り、それに基づいて有効な対策を立てなければなりません。時には、相手をよりよい方向に導くことや元気になるように励ますこともあります。このように、社会福祉士には人間として向き合い、全人格的に支えることが求められるのです。相談者の育った環境や価値観はそれぞれ違います。凝り固まった価値観では対応できません。経験を積みながら、多様な価値観と広い視野を身につけていくことが求められます。
家族や親戚、地域社会の中で持続的な支援を
このように書くと、社会福祉士は難しい仕事だなと思う人もいるでしょう。ただ支援と言っても、永遠に相談者を支えることはできません。そこで、相談者が自分自身で問題を解決できるようにすることが必要です。相談者には家族や親戚がいて、地域社会もあります。そのネットワークの中で持続的に支えることができるように促すのです。相談者を支援する場合は、「社会的に守ること」と「自立へ導くこと」の両方を考えることが大切なのです。
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先生情報 / 大学情報
山口県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 草平 武志 先生
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