マルウエアの解析でIoT機器をサイバー攻撃から守れ!
IoT機器をターゲットにしたマルウエア
コンピュータに侵入して害を与えるソフトウエアを「マルウエア」と言います。パソコンなどWindows OSの機器についてはすでに高度なセキュリティ技術がありますが、LinuxというOSが使われるIoT(モノのインターネット)機器については対策が遅れています。Windows用のソフトウエアがLinuxには使えないのです。
IoT技術はルータや監視カメラなどにも使われており、そこに侵入したマルウエアにより、サービス妨害や偽サイトへの誘導などが起きています。そのため、IoTをターゲットにしたマルウエア対策、中でも「マルウエア解析技術」が注目されています。まずはマルウエアの機能や挙動を知る必要があるからです。
マルウエア解析を妨げる原因
コンピュータプログラムは通常、公開されている標準の関数(特定の処理を行う部品)を組み合わせて作り、使用した関数の名前のリストがついています。それを解析すれば機能がわかるのですが、マルウエアではリストが削除されやすいため、解析は困難になることが多いです。また、例えばプログラムが暗号化してあるなど、マルウエア開発者はさまざまな方法で解析を妨害します。
マルウエアの解析手法を開発
こうした問題を克服して、大学と企業の共同研究で開発されたのが次の3つの技術です。
1つ目は、機械語コードを読み解く静的解析です。マルウエアの関数リストが削除されていても関数が特定できる技術が開発され、そのコードがわかるようになりました。2つ目は、プログラムを動かして行う動的解析です。静的解析で関数が特定できて、どの順序でどの関数が利用されるか簡単に追跡できるのです。そして3つ目は、解析妨害として暗号化されたマルウエアのコードを、自動的に元のコードに戻す技術です。
スマートフォンで遠隔操作する機器など、IoT機器はどんどん増えている中でのセキュリティ対策が急務です。マルウエアの解析をもとに、IoTのセキュリティ技術が開発されることが期待されています。
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神奈川工科大学 情報学部 情報ネットワーク・コミュニケーション学科 教授 岡本 剛 先生
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