学生がサイバー攻撃? 脆弱なシステムの教材で人材育成
常に危険にさらされているインターネット社会
企業がランサムウェア攻撃を受ける事件がたびたび報道されています。システムにコンピュータウィルスを感染させてデータを使用不能にし、「元に戻してほしければ身代金を支払え」と要求する犯罪です。ランサムウェア攻撃を請け負う、インターネットの裏社会集団が暗躍していることもわかっています。また、情報漏えいなども頻繁に起きています。
企業の業務のデジタル化、オンライン化が進む中で、こうしたサイバー攻撃に対する防衛策「サイバーセキュリティ」がますます重要になってきています。しかし、現状ではサイバーセキュリティの専門家は少なく、人材育成が急務となっています。
サイバー攻撃をやってみる演習教材
そのような中で、情報系の学生が自らサイバー攻撃をすることで、サイバーセキュリティを学ぶ教材が開発されました。あえて脆弱性(ぜいじゃくせい・システム上の問題点)を持たせたシステムを用意して、学習者がそこを攻撃する演習をするのです。
例えば、ECサイトのログインシステムで、ユーザ名やパスワードの欄に特殊な文字を入力することでシステムへ不正にアクセスできる脆弱性で情報が漏洩したというニュースを見かけることがあります。そこで、実際にそうした不正アクセスを演習としてやってみることで、セキュリティ対策に対する理解を深められるのです。
サイバーセキュリティの知識は誰もが必要
同様の教材を提供するサービスはすでにあるのですが、とても高額なため普及していない状況です。また、脆弱性のある演習教材を広く配布してしまうと、悪用される恐れもあります。そこで開発が進められているのが、ネット上で学ぶeラーニングのサイバーセキュリティ教材です。一定の知識を学ぶと、サイバー攻撃演習ができるプログラムが立ち上がる仕組みです。
企業・組織のシステム担当者だけでなく、誰もがサイバーセキュリティの知識を必要とする時代です。それを教える人材が少ない中、eラーニングで学べる教材が待ち望まれているのです。
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下関市立大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 講師 福田 龍樹 先生
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