人々の生命と生活を守る新たな「情報セキュリティ」とは?
不具合を起こしたのはソフト? ハード?
パソコン、スマートフォン、ゲーム機などはすべてソフトウェアとハードウェアの組み合わせで動作します。例えばゲームをしていて特定のキャラだけ操作に従わないとき、ほとんどの人はソフトのバグや不具合を疑うでしょう。しかし実際は、ハード上にセキュリティの欠陥が生じていることもあり得ます。
電磁波を盗む新しいセキュリティ攻撃
情報機器は「ソフト側からこう指示を出せば、ハード側がこう動く」という命令の集まりで制御します。命令は電気信号でやりとりされます。情報セキュリティの攻撃者がパソコンなどに、電気信号を読み取るチップを取りつけたら、ソフトそのものは問題なく動きますから、大抵の人は信号を読み取られている事実に気づけません。軍事や外交などの現場では、そうした機密情報を守る、逆に奪うということが実際に行われています。かつては盗聴器や隠しカメラを使っていた攻撃は進化し、ターゲットのパソコンなどに「一定条件で動くプログラム」を埋め込む「トロイの木馬」技術が発達しました。今ではさらに、電子機器が発する電磁波を傍受する「テンペスト」技術が生まれています。
新しい攻撃には新しい防御が必要
例えばディスプレイから発生する電磁波を傍受すれば、遠く離れた場所でも表示された文字を読むことができます。キーボードをたたく信号を読み取って壁越しにパスワードなどを盗む技術も実際に存在しているのです。さらに「電磁波の相反性」を利用し、誤った情報を相手のデータに流し込む技術もあります。これらの攻撃は日々進化していますが、防御方法はいまだ確立していないのが現状です。
IoT・AI・ビッグデータの時代といわれる現在、スマートスピーカー、自動車の運転補助機能、バイタルモニタなど、私たちの生活や生命に情報セキュリティがますます深く関わっています。「電磁情報セキュリティ」の研究は、それらの安全をソフト・ハードの両面から考える新しい研究分野なのです。
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福知山公立大学 情報学部 情報学科 准教授 衣川 昌宏 先生
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