汗の蒸発からジェットエンジンまで 熱流体の研究
悪天候の中でドローンを飛ばす
災害発生時にドローンを飛ばして、現地の状況を撮影したいというニーズがあります。例えば、台風や集中豪雨発生時の河川の状況確認や雪山での遭難者の捜索です。悪天候の中で飛ばすことになりますから、ドローンは強風で揺れたり、機体に雪が着くなど、最悪の場合は墜落する恐れもあります。
そこで強風などが飛行に及ぼす影響を調べ、それらの問題を飛ばし方などで解決するための研究が行われています。コンピュータシミュレーションで予測を立て、風洞で実験し、その結果をフィードバックして改善していきます。
氷の張り付きを防ぐには?
悪天候にも、雨・風・雪などがあり、それに応じた対策を講じる必要があります。例えば雪山での災害救助活動を行う際には、雪や氷の付着が問題になります。その場合、重要なのが機体の温度とその周囲の流れの温度です。例えば、流れの中の水が氷の状態ならば、機体に張り付くことは少なく、むしろ砂の様な粒子の衝突として考える必要があります。一方、水滴が過冷却という状態になっていると、ドローンに接触した瞬間に凍って張り付いてしまい、飛行の妨げになることあります。このとき、熱がどのように移動するかを考える必要があります。
熱力学と流体力学を一緒に扱う
このように、熱と流体を一緒に扱う分野を熱流体と呼びます。例えば風に当たると汗が蒸発し体が冷えますが、この場合も熱と流体を同時に扱う必要があります。
熱流体の研究には、流体の種類や速度などや対象となる機械により、様々な領域があります。
一例として、ジェットエンジンでは、空気を圧縮し燃料を燃焼させています。エンジン効率を上げるために圧力を上げると、激しい空気の脈動が起き、場合によっては燃焼ガスの逆流が起きて大事故につながります。この脈動を抑え、エンジン効率を高くする研究がされており、環境負荷低減に多大な貢献をすることが期待されています。これ以外でも自動車エンジンの冷却など、色々な応用分野で、熱流体の研究は重要な役割を果たしていきます。
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先生情報 / 大学情報
神奈川工科大学 工学部 機械工学科 准教授 萩野 直人 先生
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熱流体工学、流体工学先生が目指すSDGs
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