薬の飲み忘れを防ぐ「ふっくん」が高齢者と見守る人をつなぐ
高齢者を見守る服薬リマインダー
一人暮らしで70歳代のAさんは高血圧や糖尿病の薬を飲んでいます。最近、薬の飲み忘れ・飲み間違いが増えてきました。そこで、医師に相談して「ふっくん」を使っています。
ふっくんは服薬の時間になるとオルゴールが鳴り、1回分の薬が出てくる装置です。しばらくたっても薬をとらないと、登録されているAさんの家族や友人に電話がかかるため、電話を受けた人はAさんに連絡をとり無事を確かめ、薬を飲むよう伝えることができます。ふっくんは、離れて暮らす家族や友人にとって、Aさんの見守りツールにもなっているのです。
使う人の立場で「おせっかいしない」
家のあちこちにセンサーをつければ見守りは可能ですが、コストが高く、「自分は元気だから見守りは要らない」と考える人も少なくありません。ふっくんの開発では、高齢者に多い服薬の悩みを解決することで「使ってみたい」気持ちを引き出し、同時に見守りの機能も果たすアイデアを、コストをおさえた形にしました。使う人の自立心を尊重し、オルゴールを止める操作をあえて手動にするなど、「おせっかいしない工夫」もなされています。
ふっくんに使われている技術はシンプルなものです。本当に役立つ製品の源は必ずしも最先端の技術ではなく、今ある技術を高齢者や障がい者のために生かすアイデアにもあるのです。
支援が必要な人と支援する人とをつなぐ
岩手県の遠野市や花巻市では、市がふっくんを貸し出す事業を行っています。医師が必要な人に勧め、薬剤師とともにその使用を見守るため、必要な人に届きやすいだけでなく、高齢者と高齢者を見守る人とをつなぐきっかけにもなっています。
技術が進む遠隔医療・リハビリも、スマホやタブレットの操作に慣れない高齢者が自宅で利用するには、誰かの助けが不可欠です。一人暮らしの高齢者が増え続ける今、医療福祉工学の分野では、まさに支援が必要な人と支援する人とのつながりを生み出す福祉用具の研究開発が大きなテーマとなっています。
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