プログラミング技術を組み合わせたアート制作の未来
変化する技術と関係性
コンピュータの進化は、アート制作にも大きな変化をもたらしました。例えば、波が打ち寄せるような繰り返しの動きがあるアニメーションや、流れる水の動きのテクスチャなどはプログラミングで生成できます。また、鑑賞者の動きに合わせて太陽が昇ったり沈んだりする、インタラクティブ(双方向性)なアート制作も可能です。こうしたパターンの繰り返しや分岐を活用することは、作品の可能性を広げます。
シュールレアリスムの再来?
プロンプト(文字による指示)で画像を生成できる生成AIの登場も大きな進歩です。画力に自信がない人も、うまくプロンプトを組み合わせることでさまざまな表現ができます。また、プログラミングには、目的達成のために最適な方法を考える「プログラミング的思考」という考えがあります。
こうしたAIを用いた画像生成やプログラミング的思考は、すでに新しい作品制作の手段として用いられています。例えば、描くモチーフを自分で決めずに、乱数でランダムに抽出されたオブジェクトを組み合わせると、思いがけないアイデアにつながります。普段の発想では生まれないものがプラスされることで、作品は不思議な印象を持ち始めます。こうした試みは、過去の絵画史でも「シュールレアリスム主義」として存在しました。ここには「新しい道具を用いて過去の方法論を再利用する」ことの面白さがあります。
可能性を広げるためのAI
便利な画像生成AIですが、現状ではすべての制作を任せるには不十分です。自分では思いつかなかったモチーフや色使いを参考にするなど、固定観念を壊して創造性を高めるためのアドバイザーや共同制作者として活用していくことが重要です。現代は誰もが表現ツールを持つ時代だからこそ、従来よりも制作者独自の世界観や個性が求められています。また、VR(仮想現実)や空間へのプロジェクションマッピング、センサを用いたインタラクティブアートなど、作品の見せ方や形式についても多様な方向で研究されています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。