誰もが表現者になれる世界へ! 仮想と現実をつなぐメディアアート

表現の垣根を越える
デジタル技術の発展により、現実世界と仮想世界の境界が曖昧になってきています。メディアアートの分野では、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用して、現実世界と仮想世界をつなぐ作品が多く作られています。こうした作品の特徴は、鑑賞者がただ「見る」だけでなく、参加し、変化を加えられるインタラクティブ性を持ち、「創作に参加している」という実感を得られることです。また、ARやVRを活用することで、創作活動を縛るさまざまな制約を乗り越えることも可能になります。例えば、現実の壁に直接描くと違法となるグラフィティアートも、AR技術を用いれば実際の壁を汚すことなく表現でき、スマホなどを通して他者と共有することも可能です。
デジタルがもたらす新たな可能性
メタバースなどのバーチャル空間では、自分の声や顔を変えて新しい自分を表現できるため、現実世界でのコミュニケーションに苦手意識がある人も積極的に参加できます。また、その声や顔はデジタルデータなので、何度も書き換えが可能です。ゲームのように別の選択肢に戻ることができるのは、デジタル時代ならではの体験です。こうした違いを理解して、メディアごとの特性を楽しむことも、現代のアートを深く味わうための重要な視点です。
創作の喜びを広げる
メタバースに関しては、アバターの開発、バーチャル空間の構築、そして人々が集まるイベントの企画という3つの側面から、より多くの人が参加できる創造的な場を提供しようという動きがあります。参加者が自作の空間で遊んだり、趣味や交流を目的とした集まりを企画したり、互いの作品を鑑賞し合ったりすることで、創作の喜びを体感できる環境が整えられているのです。
このように、創作することの楽しさや、表現を通じて自分を発信する力を育てることも、メディアアートの大切な役割です。今後は、環境問題など社会課題をテーマにしたシリアスゲーム作りにも発展していく可能性があり、展開が期待されています。
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先生情報 / 大学情報

大阪電気通信大学総合情報学部 ゲーム&メディア学科 准教授ナガタ タケシ 先生
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アニメーション、現代美術先生への質問
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