地域をつくる建築をつくる―時代による「暮らし方」のデザイン
デザインを中心に建築を学ぶ
大学で建築を学ぼうと考えたとき、多くの人は工学部の建築学科で学ぶことを思い浮かべるでしょう。一方で工学部ではなく、デザイン系の大学で「建築デザイン」を集中的に学ぶという選択肢があります。工学部を卒業した人は建設会社や建材メーカーなどエンジニアリング分野での職種に就職する人も多いのですが、デザイン大学で建築デザインを学んだ人は、建築士として建築の設計、まちづくりのためデザインなどで活躍することが多く見られます。
人口減少と少子高齢化で変わる建築
建築におけるデザインとは、建物の形だけを考えることではなく、それを利用する人々の「暮らし方」をデザインすることです。暮らし方のデザインは、時代とともに移り変わります。日本の民家を例に考えてみましょう。昔は母屋と離れがあり、3世代の家族が共に暮らすことは珍しくありませんでした。第二次世界大戦後から1990年代初頭にかけては日本では核家族化が進み、民家の規模や間取りも核家族に最適なタイプが確立されていきました。21世紀に入ると、人口の減少と少子高齢化が顕著になり、一人暮らしの人の割合が増加しました。そのため、それまでに確立されていた建築タイプの見直しが必要になりました。
周囲の環境との関係性を見いだす観察力
暮らし方のデザインを考える上で大切なことは、その時代の人々の暮らし、少し先の未来の人々や地域の暮らし方をイメージできる想像力、自分だけではない隣人や他者にむけての想像力です。そのためにも、建築と周囲の環境との関係性を見いだして、大切にすることが必要です。具体的には建築が建つ場所の周囲をリサーチし、地域の特徴や可能性を見いだすプロセスが重要になります。身の回りのさまざまなものごとについて関心を持ち、観察力と想像力をはたらかせながら、これからの時代に適した建築のあり方を学ぶことが必要なのです。
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先生情報 / 大学情報
名古屋造形大学 造形学部 地域建築領域 教授 蜂屋 景二 先生
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