誰かを応援する、仲間をつくるための情報発信のあり方とは
誰かを応援する情報発信
テレビや新聞といったマスメディアでは、ひとりひとりの記者が書いた記事を、責任者がチェックして発信します。個人の思い込みや主観を極力排した「客観的」な情報として発信するためです。その一方で、例えば地域の魅力や地元で頑張る人の紹介などの「何か/誰かを応援するための情報発信」においては、「おいしかった」「優しさにあふれていた」など、書き手の主観を入れ、読み手の感情や価値観に働きかけたほうがより伝わりやすいものです。
仲間づくりのPR
近年、地域で「デジタル通貨」が導入されています。使い方は、一般的なスマートフォン決済と同じです。
ただ、目的が異なります。地域のデジタル通貨は、地元のお店を応援し、地域のなかでお金をまわすことを目指しているのです。なかには商品の代金に加えてチップを支払うタイプのデジタル通貨もあります。多くの人が利用するほど地域の応援につながるため、デジタル通貨運営者はメディアを通してPRを行います。ただ、「地元の店を応援するためにチップを払おう」と一方的に呼びかけるだけのPRでは、仲間はなかなか増えません。むしろ、地元の人たちの声に耳を傾け、通貨の機能や役割を議論し、それらの表現を共に探っていくうちに、仲間になってもらう取り組みが必要です。つまり、PRのメッセージを人びとと共につくっていくという営みが、仲間づくりのためのPRなのです。
知識科学
私たちは「情報発信」や「PR」と聞くと、「情報をいかに効果的に伝えるか」という一方通行の目線になりがちです。しかし、仲間をつくる場合においては、互いに意見を出し合いながら「こうすればよい」という知識を共創していく姿勢が重要です。実社会では、その場そのときの状況や問題に応じて、必要となる知識が変わります。自分に知識が足りないことも多々あります。そのようなとき、必要となる知識をいかにして他者と共につくっていけるのか。そのことを探るのが知識科学という学問なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
清泉女子大学 地球市民学部 ※2025年4月開設 地球市民学科(ソーシャルデザイン領域) 教授 兼清 慎一 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
メディア学(広報・PR)、知識科学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?