人の心に響く広告は、背景に優れた物語がある
広告はどのようにつくられるのか
広告主(スポンサー)から依頼を受けた広告会社や担当チームは、商品やキャンペーンのためのアイデアを考えます。その際、おおよそ3つの方向で案を考えることが多々あります。ひとつは王道、もうひとつは少しひねりを効かせたもの、残るひとつは個性的で癖は強いが話題性のある案といった具合です。どのアイデアを採用するのか、決定権は基本的に広告主側にあります。もちろん、やりとりの中で広告会社からの提案に説得されることもありますが、効果的な広告や印象に残る広告を出している企業ほど、目利きする力が優れているといえるでしょう。
広告の背景には「物語」がある
良い広告は単に目を引くだけではなく、その背景に物語性を秘めています。例えば、スポーツ飲料の広告であれば、仲間と過ごした時間やその競技におけるやり残した思いなどをもとに、商品を描きながら伝えたいメッセージを乗せているのです。それは映画やアニメをモチーフとしてパロディ広告の場合も同じで、単なる話題性狙いではなく、自然の美しさや登場人物の友情、作品の中に流れているテーマなど、元の作品が持つ何らかの物語性も借りています。いわば物語が物語を呼んでいるのです。
ネット時代の広告はツッコミ待ち
インターネットの発達は、ただ誰かが発するものを受け取るだけでなく、自分だったらこうするといった双方向の意識を根付かせることにもなりました。そのため広告も完成したひとつの世界観を見せるのではなく、引っかかる点や隙をわざと作り、見た人がツッコミを入れられる作りにしています。気になった人がSNSなどで言及することで話題となり、より多くの人に広まっていくことを狙いとしているのです。ただしSDGsや社会的意義、ジェンダーに対して敏感な時代となった中、軽はずみな広告はいわゆる「炎上」につながる可能性もあります。きちんとした信念を持って広告を作り、発信したメッセージがどう響くのかの客観的な検証を行うことが、これからの時代の広告にはますます必要なのです。
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