アメリカの巨大IT企業の金融機関化サービスから見えてくること
金融機関化する巨大IT企業
ITを駆使してビジネス展開している会社を「テック企業」といいます。巨大テック企業には、グーグル、アップル、フェイスブック(現Meta)、アマゾンがあり、それぞれの頭文字をとって「GAFA」と呼ばれています。事業拡大し続けているGAFAは近年、金融機関化する動きが活発になっています。
アマゾンは2007年からモバイル決済サービスであるアマゾンペイをスタートさせました。2015年にはグーグルの決済サービスが始まり、クレジットやデビットカードを用いて銀行口座と連携しています。フェイスブックやアップルもモバイル決済サービスを開始しました。その後GAFA全体で、証券投資や中小企業向けのローンなども展開して金融機関化が進んでいます。
イノベーションが起きている
GAFAは本業で利益を上げていますが、金融事業はもうかっているとはいえません。しかし自社の顧客インタフェースで金融サービスを提供して利用者の利便性を上げることで顧客獲得につなげ、本来顧客獲得にかかるコストを削減できるのです。
さらに、GAFAは研究開発費に多額の予算をかけています。借金をしてでも新しい技術開発に取り組み続けており、金融機関化や技術開発によって、アメリカ経済に貢献しているといえます。
このようにアメリカは、イノベーションを起こしやすい社会があります。今では当たり前ですが、銀行が証券業務を始めたのもアメリカが最初でした。今はGAFAが新しい展開を行って、世界に影響を与えつつあります。
日本の課題が明確に
アメリカ経済を分析すると、日本経済の状況も見えてきます。1980年代、日本は世界を席巻する経済大国であり、技術立国でした。その間、アメリカではICTやAIの技術開発がなされて、今ではテック企業を中心に巨大企業が次々と誕生しています。
また、日本は借金を嫌う社会のため、経済成長が鈍化しやすいともいえます。アメリカ経済を見ることで、日本の課題が浮き彫りになってくるのです。
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