講義No.14335 経済学

アメリカの巨大IT企業の金融機関化サービスから見えてくること

アメリカの巨大IT企業の金融機関化サービスから見えてくること

金融機関化する巨大IT企業

ITを駆使してビジネス展開している会社を「テック企業」といいます。巨大テック企業には、グーグル、アップル、フェイスブック(現Meta)、アマゾンがあり、それぞれの頭文字をとって「GAFA」と呼ばれています。事業拡大し続けているGAFAは近年、金融機関化する動きが活発になっています。
アマゾンは2007年からモバイル決済サービスであるアマゾンペイをスタートさせました。2015年にはグーグルの決済サービスが始まり、クレジットやデビットカードを用いて銀行口座と連携しています。フェイスブックやアップルもモバイル決済サービスを開始しました。その後GAFA全体で、証券投資や中小企業向けのローンなども展開して金融機関化が進んでいます。

イノベーションが起きている

GAFAは本業で利益を上げていますが、金融事業はもうかっているとはいえません。しかし自社の顧客インタフェースで金融サービスを提供して利用者の利便性を上げることで顧客獲得につなげ、本来顧客獲得にかかるコストを削減できるのです。
さらに、GAFAは研究開発費に多額の予算をかけています。借金をしてでも新しい技術開発に取り組み続けており、金融機関化や技術開発によって、アメリカ経済に貢献しているといえます。
このようにアメリカは、イノベーションを起こしやすい社会があります。今では当たり前ですが、銀行が証券業務を始めたのもアメリカが最初でした。今はGAFAが新しい展開を行って、世界に影響を与えつつあります。

日本の課題が明確に

アメリカ経済を分析すると、日本経済の状況も見えてきます。1980年代、日本は世界を席巻する経済大国であり、技術立国でした。その間、アメリカではICTやAIの技術開発がなされて、今ではテック企業を中心に巨大企業が次々と誕生しています。
また、日本は借金を嫌う社会のため、経済成長が鈍化しやすいともいえます。アメリカ経済を見ることで、日本の課題が浮き彫りになってくるのです。

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先生情報 / 大学情報

福岡大学 商学部 貿易学科 教授 掛下 達郎 先生

福岡大学 商学部 貿易学科 教授 掛下 達郎 先生

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金融論、アメリカ経済学

メッセージ

自分がやりたいこと、面白いと思うことを見つけてください。交換留学やホームステイなど、海外行きにぜひトライしてください。国内でもいろいろなところに出かけて、たくさんの経験をしましょう。視野が広がり、きっと興味関心があることが見つかります。大学では、好きなことや興味のあることが歴史や経済、社会とどうつながっているかといった理解が深まります。他大学の学生と交流する機会があれば、積極的に参加してください。多様な視点や考え方を得ることができて、それらは自分の宝物になります。

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福岡大学は、9学部31学科、在学生2万人を有する総合大学です。多くの学生や教職員が行き交う広大なキャンパスは福岡市の南西部に位置し、都心部との交通の便もよく、活気に満ちあふれています。「ワンキャンパス」に全学部が集結しており、総合大学の魅力を生かし、学問・研究および課外活動などにおいて学部間の交流が盛んに行われ、文系・理系だけにとどまらない幅広く多様な視野と知識を得ることが可能な大学です。また、創立から90周年で輩出した卒業生総数は28万人を超え、あらゆる分野で力を発揮しています。