四国でIT、東京でアニメ…… 産業が集まり、地域経済が活性化する
経済地理学とは?
地理学的立場から経済を考える「経済地理学」という学問分野があります。市町村や県といった小さな単位から、首都圏、日本、アジア、世界全体まで、さまざまなスケールでの地域を対象とし、そこから経済活動の空間的、地域的側面を調べていく学問です。
地域について学ぶためには、対象の地域を分析するだけでなく、ほかの地域との関係や、より広い地域全体の経済動向や政策などについて幅広く分析する必要があります。例えば日本国内では、大都市に人やものが集まる一方、地方では過疎化が進んでいます。地方の過疎化問題は、大都市への人口集中が背景にあるなど、両者はコインの表裏のような関係にあり、双方について考える必要があります。
四国の山間部や漁師町にIT企業が集まる
地方では過疎化対策として、一昔前までは、大企業を誘致し、雇用や産業を生み出すという方法がとられていました。しかし、そうした企業や工場は、さらに人件費や土地代が安い海外に進出してしまい、いま地方は危機にさらされています。
一方、元気な町もあります。例えば徳島県の神山(かみやま)町や美波(みなみ)町では、2010年頃からIT企業を中心にサテライトオフィス(本部から離れたオフィス)を誘致して地域づくりに生かしています。徳島県では、山間部も含め、ほぼ全域で光ファイバー網が整備されていたという下地があったとはいえ、こうした動きは注目されています。
金属加工にアニメも
昔から特定の産業が集まり、地場産業のまちとして発展してきた場所もあります。愛媛県今治(いまばり)市のタオル、新潟県燕(つばめ)市の金属洋食器などです。東京にも地場産業的なものはあり、大田区の金属加工、台東区や墨田区のファッション製品(靴、バッグ、ニット)など、ものづくりの中小企業が集まっている地域があります。また練馬、杉並、武蔵野といったエリアには、アニメの制作会社やスタジオが集まるようになりました。こうした場所では産業を中心としたコミュニティが生まれ、地域全体に活力をもたらしています。
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先生情報 / 大学情報
成蹊大学 経済学部 現代経済学科 教授 小田 宏信 先生
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