医療のタスクシフトとAI化で、薬剤師に求められることとは?
「薬剤師外来」とは?
AIが人の仕事を代行する時代がやって来るといわれています。AIに置き換えられない薬剤師の仕事とは、処方された薬を出すだけでなく、患者一人一人を個別にみて、その人の状態を判断して適切な薬を提案していくことになっていくでしょう。すでにがんの治療では、病院で医師が診察する前に薬剤師が患者をみて、抗がん剤による副作用の管理を行う「薬剤師外来」が一般的になりつつあります。副作用に対する治療を「支持療法」といい、副作用のモニタリングやアセスメント(評価)を行って抗がん剤を減らすことや、副作用を抑える薬の提案も、病院薬剤師の仕事です。
副作用を早期に発見し、QOLの向上を
がんの治療では、抗がん剤を使った化学療法が1年などの長期間になることがあります。しかし、つらい副作用によって治療を続けられないケースも少なくありません。
抗がん剤の副作用に多い吐き気や皮膚障害は、薬によって抑えられる場合があります。薬剤師の支持療法によって患者のQOL(生活の質)が向上すると、治療の継続率が上がるという研究報告があり、治療の継続によって治療効果も上がっていくはずです。
薬剤師だからできる仕事を
病気の診断をするのは医師の仕事であり、今までの薬学教育では「患者の状態をみる」教育はあまり行われてきませんでした。しかし、厚生労働省では医師の負担を軽減するための医療の「タスクシフト」を目的として、薬剤師や看護師などの医療従事者が、それぞれに職能を発揮して治療やケアを行う「チーム医療」を推進しています。
薬学教育においてもカリキュラムが改訂されて、臨床の科目が増えました。これからの薬剤師は患者をみて、状態を正しく評価し、それに応じた薬を出すという、個別性のある薬学的管理の力がますます求められていきます。
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