講義No.14411 建築学

多様性を生み出す空間と都市デザイン

多様性を生み出す空間と都市デザイン

空間を柔軟に転用できるように

空間を設計する場合、その空間が持つ機能をある程度想定してデザインをします。ところが特定の機能に特化しすぎると、空間を柔軟に使うことができなくなってしまいます。例えば遊園地のジェットコースターは実によく設計されていますが、ジェットコースター以外に使い道はありません。それに対して空間的には何もない原っぱは、子どもの遊び場やイベントの開催場所になるなど、自由な使い方ができるのです。建築をデザインするときも、ある用途に限定しすぎるのではなく、空間を柔軟に転用できるようにバランスを考えていかなければなりません。

多様に活用されるショップハウス

空間を柔軟に転用できれば、その建物を長く使い続けることができます。マレーシアなどの東南アジアに見られるショップハウスは、イギリスの植民地時代に作られた住居と店舗が融合した複合住宅です。ショップハウスは小さなお店を営む家族が暮らす場所としてだけでなく、空間を丸ごと店舗に利用したり、倉庫として活用したりするなど、多様な使われ方をしています。また、ショップハウスの駐車場を一定時間だけ、屋台や露店が出店するための場所として活用するケースも見られます。資本を多く持たない人々が都市空間において最大限の経済活動を行う上で、大きな役割を果たしています。

中間領域の重要性

空間をさまざまな形で利用するための、大切な要素の1つが中庭です。ある土地の、道路に面している側を商業に利用して、その奥側を生活空間にしている場合は、2つの空間の間のクッションとして中庭を作ることで「商業」と「生活」という異なる2つの機能が共存しやすくなります。こうした外と内をつなぐエリアは建築用語で「中間領域」と呼ばれています。同じように、例えば商店街などのアーケードも、雨や風をしのぐための快適な空間づくりに役立つと同時に、道路に少しはみ出して商業活動を行う場を確保する働きを持ちます。このような領域の利便性を視野に入れて、建物を設計することが重要なのです。

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先生情報 / 大学情報

公立鳥取環境大学 環境学部 環境学科 教授 張 漢賢 先生

公立鳥取環境大学 環境学部 環境学科 教授 張 漢賢 先生

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都市計画学、都市生活空間計画学

メッセージ

空間をデザインする際、その使用目的はもちろん、さまざまな条件との折り合いをつけながら設計していきます。このとき、建築の実務的な機能だけでなく、人間同士の交わりや社会と建築の関係について理解しておくことも必要です。建築を通じて社会の仕組みまで考えられるのが、この分野の大きな魅力です。
受験には生活習慣も大きく影響するので、掃除や片付けなど日々の基本的な事柄もぜひ大事にしてください。また、物事をマイナスにとらえずに、ポジティブな面を見ながら生活するよう心がけてほしいです。

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本学は環境学部と経営学部の2学部を設置し、「環境」と「経営」2つの視点をもった普遍的な「知力」を土台に、人と人とのつながりを通して身に付く「人間力」を形成し、主体的に学び、考え、行動し、課題解決や新しい価値を創造できる、10年後、20年後の社会でも活躍できる人材を育成する学びを展開しています。
小規模大学だからこそできる学生一人ひとりを大切にした学生生活で、また、多文化交流空間「英語村」の設置や、就職支援も充実しています。
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