「フライトナース」に求められる能力とは?
ドクターヘリが誕生したきっかけ
フライトドクター(救急医)やフライトナース(救急看護師)を乗せて、傷病者のもとにいち早く向かう救急医療ヘリコプターが「ドクターヘリ」です。日本でドクターヘリが本格的に運用されるようになったのは2001年からですが、そのきっかけは、1995年に起きた阪神・淡路大震災での教訓でした。もし、震災発生時に適切な医療が提供できていれば、少なくとも500名の命を救えたのではないかと推測されています。現在は、57機のドクターヘリが国内で運用されています。
早く医師と看護師を送り込む
ドクターヘリは、一刻も早く治療を必要とする傷病者が出た時に、消防機関からの依頼を受けて出動します。多くの場合、1機のヘリにはフライトドクター1~2名、フライトナース1名、パイロットと整備士が搭乗します。ドクターヘリは、あらかじめ定められた地点で傷病者と合流して、その場で必要な処置を施した上で病院に搬送します。
世間では、一刻も早く傷病者を病院に搬送するのがドクターヘリの役割と思われがちですが、搬送時間自体は救急車と大差ない場合もあります。むしろ重要なのは、傷病者のもとにできるだけ早くフライトドクターとフライトナースを送り込んで「その場で必要な処置を施す」ことです。
基礎の積み重ねの先に
フライトナースには、一般的な看護師としての知識と技術だけでなく、分単位で状況が変わり得る現場で、フライトドクターのサポートや救急救命士との連携も含めた臨機応変な判断力と応用力が求められます。多くの人がが巻き込まれた事故現場など、一般的なセオリーが通用しない場合も多く、例えば必要な物品が足りない時の代替品を提案する知識も必要です。そうした能力を身につけるには、まずは看護師としての基礎的な能力を一つずつ着実に習得していくことが大切です。その積み重ねの先に、真に能力を発揮できるフライトナースへの道は続いているのです。
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