リハビリテーション看護の第一歩は、意欲を「引き出す」こと
当たり前のことがある日できなくなる
当たり前にできていたことが、ある日できなくなる。健常者が病気やケガによって障がいを持つことを「中途障がい」と言います。患者さんの気持ちのうえでも、これは辛いことです。障がいのない人も、利き手を使わずに過ごしてみたり、目をつぶって家の中を歩いてみれば、どれほど心細いかに気づくことでしょう。
「リハビリテーション看護」では、障がいによって発生した環境との“不調和”を、リハビリテーションによってもう一度“調和”へ近づけていきます。
創造力が必要なリハビリテーション看護
脳卒中で身体の片側が麻痺した人の場合、1.寝返る・起きる・立つ・座る・歩くなどの動作を新たに習得する 2.片手で食事や着替え、洗顔などの方法を習得する 3.残された機能と潜在する機能をうまく使うことで社会復帰する。リハビリテーション看護では、この3つの段階が考えられます。
看護師は患者さんが何か一つできるようになれば、「次はあれもできるかも」と働きかけます。例えば、歯磨きのとき、片手で歯磨き粉のチューブからキャップを外し、歯ブラシにつけるのは難しいでしょう。では、歯ブラシを固定する器具を工夫し、患者さんが一人でできるようにしてはどうか。このように、創造力を駆使して患者さんの生活に貢献できるのが、リハビリテーション看護の魅力なのです。
気持ちを察してほしい
患者さんにアンケートを行ったところ、看護師に対する要望で多かったのは、「気持ちを察してほしい」ということでした。患者さんはみんな、治りたいと思ってリハビリテーションを行っています。すっかり元通りになるのは無理だとしても、できるだけ元の状態に近づきたいと治療を続けています。ですから、看護師はその気持ちを折ってしまうような言動を決してしてはなりません。障がいを軽くするのは看護師ではなく、患者さん自身だからです。患者さんの回復力を「引き出す」こと、治そうという気持ちを「起こさせる」ことが、リハビリテーション看護の第一歩なのです。
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